魔王討伐すら出来る俺、異世界最強の賭博師になる   セツナセイ(角川スニーカー文庫)



第二の人生はカジノで遊び尽くす事を決意した史上最強の賭博師による空前の英雄譚。
大枠としては異世界召喚ものですね。しかし、救国の為に王女に召喚されるという王道の出だしに加え
魔王討伐すらできるほどの才能持ち、という恵まれた状況でありながら勇者と共に旅に出るのではなく
カジノで遊ぶことを優先したり、ドジを踏んで牢屋に入れられたりと破天荒さを見せる主人公の姿が愉快痛快。
なお、舞台がカジノ大国ということもあって、内容は当然ギャンブル描写がメインになっています。
ラブコメ面は今のところ進展なし。ヒロイン側のフラグは成立しているようですが…

主人公はカジノ大国に召喚され、魔王すら討伐出来る程の才能を備えていたがゆえに王宮中の期待を集めるも
最前線に派遣されたくないがために最弱職「賭博師」を選択した元社畜の青年。
日々の睡眠不足のせいで目は年がら年中腐っていて、基本外に出ないため肌は生ける屍のように白く
いつも気怠い感情を抱きながら生きていることから覇気もなかったりと見た目の印象がかなり悪い。
基本的に面倒くさいことが嫌いでデリカシーがなく、恋愛免疫なし。基本スタンスは「楽して生きる!」
また、一時のテンションに身を任せがちなところがあり、それが原因で失敗や敗北をすることもしばしば。
昔仕事でひたすら上司のご機嫌を窺っていた時期の杵柄で、行動心理学による観察力に長けている。
好きなものは金で、自分が苦労せずに楽して手に入るお金はもっと好き。趣味はギャンブル、好物はもやし。

ヒロインは王女、ギャンブル依存症なエルフ幼女、凄腕ディーラーメイド。
一番のお気に入りはアッシュベルト王国のカジノで勤務する凄腕のディーラー、アイシス。
氷色の髪に薄氷のような冷たいアイスブルーの瞳を持つ、モデルのような体型の美人で
凄腕ディーラーであると同時に、その表情がほとんど動かないことから「氷の女王」の異名をとっている。
普段は無表情で口調も淡々としており、正にS気質なクールビューティーといった感じだが
実は温かい心の持ち主であり、表には出さないが恩人である主人公のことをとても大切に思っている。
カジノの悪徳支配人との騒動の後、自身の所有権の移動を主張し奴隷兼メイドとして主人公に仕えることに。

現時点(一巻)においての評価はC。
コメディ寄りの作品とはいえ、設定や展開がやや大味すぎる感があるのがやや引っかかる点ではありますが
その分キャラが所狭しと生気溢れる騒々しさで暴れまわっているため。見ていて楽しいのがいいですね。
初っ端からクズっぷり見せつけ、しかし締めるべき場面では締めてくれる主人公は存在感抜群ですし
そんな彼の周囲を彩るヒロインたちも色々な意味で個性豊かで可愛らしく、飽きを覚えることがありません。
まあ、真面目に世界を救おうとしている勇者は戦力を得られず、苦労する羽目になってご愁傷様ですが…
本筋は救世主としての才を持ちながらも断固として戦いに赴かず、ギャンブルに明け暮れる主人公。
という構図で進んでいくようですが、現実的な脅威として人類と敵対している魔族の存在もありますし
今後話がどう展開するのか気になるところ。やっぱり最後は魔王とギャンブルするのだろうか。