ちょろいんですが恋人にはなれませんか?   七条剛(GA文庫)



ちょろいんたちに迫られる少年の、恋に落ちてはいけないラブコメストーリー。
積み重ねや劇的なイベントを経ることなく、単純な理由ですぐさま主人公に惚れる存在、ちょろいん。
昨今では珍しくもなくなった存在にスポットが当てられている当作品ですが、テーマであるがゆえに
逆にヒロインたちがちょろくても仕方がないという納得ができてしまうのが逆に面白いですね。
内容としては、正義のハッカーをやっているがゆえにハニートラップを疑い、ヒロインたちの誘惑を
受け入れられない主人公(割とあっさり絆されていますが)という構図で進みます。
ラブコメ面は現状四人のヒロインに好かれ、アプローチされているも、主人公には本命がおり…?

主人公は電子の世界で縦横無尽に活躍する天才ハッカー集団を纏め上げる少年。
ある日、困っている三人の少女を立て続けに助けた結果、短時間で彼女たちに恋されてしまう。
私より公を優先、仕事は手を抜かずキッチリこなすなど真面目過ぎるほどに真面目な性格で
見返りを求めることなく困った人を助け、相手が泣いているならその原因をなくそうと動ける正義感の持ち主。
その一方で、他人のことばかりを優先するあまり、すぐに自分のことを後回しにするところも。
戦隊ヒーロー好きゆえに、劇中の名台詞を会話の中で口にすることもしばしばだったりする。
いつもクールに振る舞っているが、今までの人生においてモテたことがないため、女性慣れはしていない。
趣味は読書、好きな食べ物は唐揚げ、好きな戦隊ヒーローはカレー戦隊カラインジャー。

ヒロインは天然気味な転校生、騎士道留学生、勝気ツンデレな家出お嬢様、人当たりの良い級友。
二巻にて負けず嫌いの公女が参入。また、三巻では天才ハッカー少女が来日。
一番のお気に入りは喫茶店「恋ノ下」でアルバイトとして働く同僚にしてクラスメイト、美月亜里沙。
目立つ存在というわけではないものの、物腰穏やかで人当たりが良く、誰にでも分け隔てなく接する優しさと
異性の視線を集めてやまない可愛らしさを併せ持つ、鎖骨辺りまで髪を伸ばしているスタイル抜群の美少女。
将来の夢はパティシエールで、喫茶店でのアルバイトはその一環。

現時点(三巻)においての評価はC。
ヒロインたちがちょろいん揃いであるがゆえに、そこからの恋愛模様に重点が置かれている作品です。
恋の落ちても好感度カンストとはならず、好感度がどんどん積みあがっていく様はニヤニヤできてグッド。
主人公も正義のヒーローたらんとする格好良さの描写が明確なのでモテモテなことに説得力がありますしね。
とはいえ、ドタバタラブコメオンリーというわけではなく、ミステリーや悪者退治といった要素もあるので
話の展開に単調さを覚えることはないですし、退屈せずに読み進めることができるかと。
まあ、主人公の秘匿面での迂闊さを筆頭に、設定がやや緩すぎる点が少し引っかかる部分ではありますが…
本筋は遂に謎のハッカー「黒猫」の正体が明らかとなり、一連の騒動に決着。
まだ続く余地はあるものの、三巻終盤からの流れとあとがきを読むにこれで完結っぽい感じもしますが、さて。