ハーレム・スコードロン 上杉託也(富士見ファンタジア文庫)
航空技術が高度に発達した世界を舞台にした美少女×ヘリコプターアクションストーリー。
主人公たちが人型機動兵器、あるいはもう少しマイナーに戦車や戦闘機などの機体に搭乗して戦う。
という作品は見たことがありますが、搭乗機がヘリコプターというのは初めて見ますね。
正直、縁のないジャンル過ぎて読む前は描写についていけるのかという不安がありましたが…
専門用語は流れに沿ってわかりやすく纏められているため、問題なく読み進めることができます。
肝心のヘリコプターによる戦闘描写もアクロバティックなスピード感があって中々読み応えがありますし。
ラストは人類に復讐戦と世界に混乱をもたらそうとする闇の種族のパイロットの操る超兵器を撃破。
その功績で訓練学校の教官になった主人公は、今日も教え子たちに振り回されるのだったエンド。
ラブコメ的にはヒロインたちが攻勢をしかけるも、主人公は飛行機が恋人! なため進展なしで終了。
主人公は離島でヘリ運送業を営んでいたが、熟練パイロットを遥かに凌ぐ飛行経験と操作技術を見込まれ
先進航空戦闘兵養成学校(ACTS)へ鳴り物入りで入隊を果たすことになった少年。
理不尽を見過ごせない正義感と、自分を頼ってくる人を見捨てられないお人よしさの持ち主で
真面目でまっすぐ素直な性格をしており、人の役に立てることが何よりも幸せと考えている。
そのため、たとえ時給の安い配達のバイトでも全力で頑張るのが流儀。
自己評価が低く、自分が異性から好かれるはずがないと思い込んでいるため、色恋沙汰には鈍感極まりない。
ヒロインは勝気な幼馴染、ぼっちな落ちこぼれ娘、人当たりの良い同期生、口下手な整備士。
一番のお気に入りは整備士とパイロットを兼任する寡黙な少女、国府宮沙羅。
常に無表情で言葉数が少ない上、口下手なため意図が読み取りにくく、マイナスな印象を抱かれがちだが
実際は純粋でプロ意識の高い性格をしており、好意を抱いた相手にはかなり大胆で積極的。
評価はD。
戦闘ヘリという目を惹くけど珍しすぎる看板が置かれているため、一見とっつきにくそうではありますが
内容そのものは模擬試合を挑んできて主人公の実力披露のためにボコボコにされる噛ませ犬。
学内ランク制度、そしてタイトルに違わぬモテモテハーレム展開など、バトル系学園ものにおける定番要素で
構成されているため読み易かったです。反面、斬新な部分はヘリコプターだけとも言えるのですが。
キャラに関しては、無意味に鈍感難聴な上、自分の都合ばかり優先する人間として未熟すぎる主人公に
可愛くはあるけどチョロインだらけのヒロインたちと、殺伐気味な世界観とマッチしていない感が難点でした。
本筋は二巻完結、最終巻でいきなり壮大な背景を背負ったラスボスが登場、でもすぐに決着。
と、肩透かしを食らった上、わけがわからない内に終わってしまい、打ち切りの悪い例を見たとしか言いようが…
やっぱり題材がマイナーすぎたのがまずかったんだろうか。長く続いていれば化けそうな気がしたのですが。