憧れのあの娘が突然迫ってくるんだが、どうしたらいい?   天草白(一迅社文庫)



薬によって発情したヒロインたちが主人公に迫りまくるラブコメストーリー。
ぶっちゃけラブコメというよりはエロコメですね。
挿絵が肉感的な上に、肌色率がやたら高く、内容のほうも性行為描写を入れてないからセーフ!
みたいな潔さすら感じる寸止めエロシチュ三昧なお話です。
内容的には迫るヒロインに抵抗する主人公、という構図が延々と繰り返されるだけ。
申し訳程度なシリアス要素があるにはありますが、印象に残るほどではないという中身の薄さ。
ですがまあ、こういった開き直った作品は嫌いではないです。
無理にシリアスを入れようとしてバランスが悪くなるよりは、バカを通すほうが読んでて楽しいですし。
ラストはメインヒロインである真白と恋人同士なって終わり。
虐殺展開(他ヒロインをガチで振ったり適当な男とくっつけたり)がなかったのはよかったです。

主人公は憧れの先輩のために健気に科学部活動を頑張る高校二年生の少年。
好きな人のため、という理由だけで他の男子が挫折した苦難を乗り越えているあたり、かなり根性がある。
動機は不純ではあるものの、部活動に対しても真面目に取り組んでいて、人柄は誠実。
押しに弱く、流されやすかったり、煩悩に振り回されることなどもあるものの、身持ちは意外に固い。
なお、運動部所属でもないのに耐久力と回避力が人並み外れて高い。
が、それは無茶な人体実験の数々を潜り抜けてきた成果という悲しい理由だったりする。

ヒロインはクールビューティーな先輩、運動が得意な幼馴染、爆破お嬢様な後輩、コスプレ好きの同級生。
二巻、というか最終巻にしてヒロイン追加とかいきあたりばったり感が半端ない!
一番のお気に入りは主人公憧れの先輩で天才工学美少女な桐原真白。
怜悧な美貌と明晰な頭脳、そして抜群のスタイルを持っていて、男子からの人気は抜群。
その一方で、特撮マニアであったり化学一筋であったりと変人として敬遠されている部分も。
普段は特撮と科学以外に興味を示さない、白衣の似合うクールなキャラ。
だが、家にエッチなグッズやコスチュームを隠し持っていたり耳年増なところがあったり
意外に羞恥心が強かったりと、実は年齢相応の女の子らしい部分も持っている。

評価はC。
感動とか悲劇とか熱血とか伏線とか、そういう内容的なものは一切期待せずに読むのが吉。
ToLoveるをノベルで読むが如く、単純にエロラブコメとして読めば十分楽しめると思います。
まあ、エロ描写に比重がかかりすぎているために、萌えの部分がやや弱くなっているのはいただけないですが。
とはいえ、エロを絡めたヒロインの可愛らしさの演出は見事だったかと。
特にメインヒロインの真白の可愛らしさはバッチリで、キッチリ彼女と結ばれて終了というのは潔い。
でも他のヒロインにもきっちりフラグ立ててるし、振ったりしてない以上普通に続き出せると思うんですけどね。
主人公にちょっかいをかける他ヒロイン、嫉妬する真白の構図で。
基本的にはトンデモ発明品を使ってのエロコメが売りの作品だから、延々とそれを続けてくれれば…