神域のカンピオーネス 丈月城(ダッシュエックス文庫)
神々と英雄が入り乱れる世界を舞台にした、神をも殺す獣となる少年の神殺しファンタジーストーリー。
作者の過去作である「カンピオーネ!」とは異なる平行世界が舞台となっており、テーマは旅と神話。
主人公一行が神話世界を旅してその筋書きの改変を試みる、というのが物語の基本路線になっています。
今作主人公は手持ちの札を上手く切って勝ちを掴んでいくタイプであるため、戦闘パートにおいては
敵を圧倒してスッキリ爽快! とはいきませんが、その分立ち回りの上手さが際立っている印象。
ラブコメ面はメインヒロインの鳥羽梨於奈と婚約を結び、公の正妻はほぼ確定に。
ただし、他のヒロインとも愛人契約のようなものを結んだりとハーレムルートまっしぐらの模様。
主人公は魔術結社「カンピオーネス」に所属する工作員にして神殺し。
かなり脱色した髪のチャラい見た目と、苦手な敬語を使わない調子の良い軽い言動が特徴の青年で
良くも悪くも警戒心を刺激しない脳天気な人柄をしており、その性格から国籍性別を問わず友人が多く
場の空気を気にしないお気楽さで相手の好悪に関わらず臆さず距離を詰めようとするところがある。
この姿勢のためか、他人から向けられる好意については非常に敏感で、その手の直感は外れたことがない。
異様にマメなコミュ力のために女性からもかなりモテるので人並み以上に女性経験は豊富だが
過去に痛い目を見てからは、束縛するのもされるのも嫌いな性分もあって本気のおつきあい以外は自粛している。
交友関係の広さからか、ゲイやレズビアン、形だけの偽装結婚にも非常に寛容。
ヒロインは女王様気質な巫女、美と愛の女神、天真爛漫な王女。
一番のお気に入りはとある事情から主人公と一体化してしまい、現在は相棒関係にある少女、ステラ。
その正体はギリシア神話でオリュンポス十二神の一柱とされた美と愛の女神アフロディーテ。
顔立ちは十二、三歳くらいと幼いながらも傾国と呼べるほどの美貌で、メリハリのあるプロポーションを持ち
見事な金髪をツインテールに纏めている美少女(ただし現在の体格は身長三十センチほどの人形サイズ)
面食いで口が悪いが、ヘタレで神経質な性格をしており、隠し事が苦手。
現時点(五巻)においての評価はC。
神話の物語に介入し、本来あるべき話の流れを変えるという、二次創作そのものな話の展開が面白い。
前作同様神話関係の蘊蓄要素が多めで必要知識を頭に入れるのに少々苦労するのが難点ではありますが…
元ネタをちゃんと理解しないとこの作品は十全に楽しめないのでこれに関しては致し方なし。
キャラに関しては、常に飄々としてコミュ力が高く、深く悩まずに前に進み続ける主人公が好印象。
ヒロインたちが可愛くはあっても癖の強い面々であるだけに、彼女たちを上手く捌く手腕にも憧れます。
本筋は一巻から続く世界の滅亡を懸けた戦いが遂に決着。そして新たなる旅へ。