アキハバラ・ライターズ・カルテット   三木なずな(ぽにきゃんBOOKS)



「写経」男と異能ヒロイン三人で作り上げるクリエイティブ・ラブコメディ。
最近ちょくちょく見かけるようになった、主人公がプロのラノベ作家な話ですね。
主人公を含めた幼馴染四人組が、ラノベ製作という一つの目標に向かって頑張る姿が実に青春しています。
業界話は最低必要限にとどめ、あくまでメインはラノベ製作を起点にした掛け合いになっている模様。
パロネタが会話の中で度々出てきますが、正直使い方はあんまり上手くなかった印象。
ラブコメ面は何気にヒロインズの好感度MAXスタートとイージーモードっぽいですが、さて。

主人公は応募したライトノベルで大賞を受賞し、現役高校生作家としてデビューした少年。
作家としては、写経(ラノベ書き写し)で培った業界トップクラスの文章力が武器。
理屈屋な性格で、幼馴染グループ内ではツッコミ役兼ブレーキ役と苦労人ポジションを務めている。
中学校時代に厨二病を発祥していた時期があり、そのことでよく弄られていたり。
たまに異性として意識こそするものの、グループの少女たちを何よりも大切に思っている。

ヒロインはフリーダムな幼馴染、弱気なおっとり幼馴染、百合趣味な妹。
あと、ロリババアな先輩作家がヒロイン昇格候補?
一番のお気に入りはプロ級の腕前を持つイラスト描きな実妹、吉武小梅。
アニオタかつ先輩後輩という関係性の百合が大好きで、描くイラストも大半がそれ系統。
容姿は抜群で男子にも人気があるが、極端なまでに人見知りする性格で、その上内弁慶。
しかも、依存心が強いため、恋愛感情やブラコンの気こそないが、普通に接することができる
同年代の男だから、という理由で生涯兄と一緒にいたいと本気で考えている。
ちなみに、計量しないで料理を作るタイプのメシマズ。

現時点(一巻)においての評価はC。
主人公、妹、幼馴染二人で形成されるカルテットの醸し出す空気が実に良かったです。
全員主人公に好意アリなのに、ギスギス感や気まずさがなく、サッパリとした仲の良さが伝わってきますし。
この恋と友情と家族愛の入り混じった絶妙なバランスで成立している四人の関係の描き方はお見事の一言。
多分この四人は何があっても、何年たっても変わらずに一緒にいるんだろうなぁ、と思わせてくれます。
四人で完結してしまっているがゆえに、世界観が狭いという問題もありますが…
タイトルを考えても、それがこの作品の味なので続くとしてもこのままの方向性でいいのではないかと。