タタリ・ブレイカー弑子 榊一郎(HJ文庫)
フィギュア製作者な主人公と祟り破り術者のヒロインの織り成す解呪物語。
とにかく描写が丁寧なので、内容を理解しやすく、キャラの動きを想像しやすいのがいいですね。
全体的にも高レベルに上手くまとまっていると思いますし、キャラも生き生きとしてる。
この辺は流石ベテラン作家さんといったところ。
欲を言えばもうちょっとラブコメ要素を入れてほしかったですが……
主人公はフィギュア作りの腕を見込まれ、ヒロインの相棒にされてしまった眼鏡少年。
趣味のフィギュア作りは原型から作るほどの入れ込みようで、その腕前は会社から仕事を請けるほど。
更には、その情熱が高じたのか、オカルトな力すらも付与することができる。
その上、その力はその筋の人間から見ればかなりの能力であるらしい。
この辺は如何にも主人公らしい資質といっていいかもしれないものの……
いかんせん時間と労力を考えるとコストパフォーマンスが悪すぎる力であるといえる。
普段は目立たず騒がず平凡な学校生活を送っており、趣味のことも周囲に隠している極普通の学生。
何気に、無自覚ピンポイントで女の子の望む言葉を紡ぎ出せるあたりは流石主人公といったところか。
ヒロインは祟り破りの少女、癒し系クラスメート。
あと、ヒロイン的ポジションにはいないであろうが、ツンデレな実妹や先輩な美術部部長もいる。
一番のお気に入りは祟り破り術者として現れた少女、三途川弑子。
一族の役目柄、負の引力のようなものを自身に作る必要性があり、常に不吉を帯びるように生活している。
そのため、本人はあまり気にしていないようだが、傍から見るとどう見ても変な人。
仕事が仕事なだけに、人間の暗黒面を見慣れていて、達観した態度をとることが多い。
しかしその実、さりげなくではあるが優しいところもあり、ドジっ娘な部分も。
あと、自身の見た目を気にしていたり女の子らしい服装に喜んだりと年頃の女の子らしいところもあったりする。
なお、中学生くらいにしか見えない容姿をしているが、実は十八歳だったりする。
現時点(一巻)においての評価はC。
完成度の高い作風は感心すらしてしまいますが、それ故に目を見張るような部分もなかったかな?
面白くはあるのですが、一度読めばもう満足みたいな。
主人公の特技を生かした活躍や、ヒロイン勢の可愛らしさはバッチリだったんですけどね。
題材が呪いということで、全体的な雰囲気を暗く感じてしまったのもマイナス査定の原因でしょうか。
霊能ものなのにロボットを出してくるラストバトルのはっちゃけっぷりは楽しかったのですがw