神アプリ曰く、私たち相思相愛らしいですよ?   真野真央(MF文庫J)



「相性度1%幼なじみ」VS「運命の出会い」なステータスが鍵を握る青春ラブコメストーリー。
個人の恋愛パラメータを計測して運命の相手を選びとってくれるコミュニケーションアプリを使って恋人を作る。
という設定が基盤になっているため、主人公がアプリのステータス情報に振り回され右往左往しながら
初恋の幼馴染や運命の出会いを果たした女の子たちと交流していく、といった感じで話は進むわけですが…
これ、冷静に考えるとかなり恐ろしい世界観だよなぁ。機械が算出した数字で恋愛するとか。
まあ、この作品はコメディな雰囲気が強いのでディストピア感はほぼ皆無ではあるのですけども。
ラブコメ面は主人公と幼馴染なメインヒロインの火澄凛珠の両想いは現状揺るぎなし。
ただ、様々な事情からカップル成立には至っていないため、他ヒロインの攻勢はまだまだ続く模様。

主人公は恋愛補助アプリ「エルステ」に振り回されつつも、恋人を作るために奮闘する少年。
性格は比較的常識人。優柔不断でチョロく、押しに弱いところがあるが母性をくすぐる一面も。
恋人ができたことがない恋愛初心者であるため、女の子からのアプローチにはシャイさを見せることが多い。
火澄凛珠が初恋の相手であり今でも一番好きなのだが、過去に相性最悪判定ながら恋人同士になった
幼馴染カップルの破局を目の当たりにしているため、自分たちが同じことになることを恐れている。
実は些細な助言が開発者(実姉)による制作の切欠になった程度の関わりだが「エルステ」の発案者。

ヒロインは攻撃力全振り幼馴染、夢見がちな恋愛脳娘、強メンタルなクール娘、無邪気な小悪魔。
一番のお気に入りはステータスがメンタル全振りな男前武術娘、佐伯裕子。
肩に垂らしたサイドテールにそこそこのサイズの胸、そして何かを見据える様な強い眼差しが特徴の美少女。
真面目で実直、誠実でストイックな性格で、高校生活を精神修養の一環として捉え、あえて友達を作らず
変わった行動をとることで周囲から奇異の目で見られるようにすることで精神力を鍛えており
自信に満ち溢れた言動と強烈な威圧感が合わさって周囲からは「強キャラぼっち」と呼ばれている。
遊びで男女交際する気はなく、付き合うなら結婚前提と考えており、それゆえに手段を選ばないところがあるが
一対一ならば夜這いすら平気ながら、不特定多数に見られるのは恥ずかしいという弱点を持つ。
花嫁修業の一環として一人暮らしをしていることから、料理や掃除といった家事能力はかなり高め。
家は武術の名門で大きな道場をやっており、その後継ぎになることが決まっている。

現時点(二巻)においての評価はC。
恋愛の能力を数値化し、それをもとにして男女の相性を計るアプリが大活躍!
という設定自体は面白いですし、作中でもアプリが上手いこと展開に活かされていると思います。
反面、キャラが設定の犠牲になっている感がありますね。特に主人公は幼馴染の凛珠という本命がいるのに
アプリに頼り過ぎてあっちこっちにフラフラしたり、執着心に欠けていたりと好感を抱きにくいですし。
いやまあそれだけアプリの信頼度が高いってことなんでしょうし、そもそも根本的な問題として
凛珠がヘタレ過ぎて「そりゃ他の娘に目を向けたくなるよな」と納得してしまうのも確かではあるのですが。
偏ったステータスゆえに癖が強いとはいえ、他ヒロインはちゃんと好意を示してくれるわけですし。
本筋は恋愛アプリを軸にした、主人公が恋人を作るまでの過程が描かれていくようですが
これ、最終的にはどう纏めるんだろうか……ヒロイン側は覚悟完了な娘が何人かいるようですけども。