オタギャルの相原さんは誰にでも優しい　　　葉村哲（ＭＦ文庫J）



オタ友以上恋人未満なオタ充系青春ラブコメストーリー。
この手の「リアルはクソ、ぼっちでも無問題」思考の主人公がヒロインに絆されていく系の話は
どうしても話が進むと「結局口先だけじゃねーか」と斜に構えたツッコミを入れたくなるものですが
……うん、この作品の場合は納得するしかない。相原さんの破壊力がヤバすぎてどうしようもない。
そりゃこんなウザあざとい娘が友好的に接してきてくるならチョロく絆されても仕方がない。
オタク属性持ちのギャルとか、現実にありえないとわかるからこそ強烈な魅力を感じてしまうのは当然である。
ラブコメ面はメインヒロインの相原さんのオンリーヒロイン路線で確定の模様。

主人公はある日オタギャルの相原さんがカノジョ（仮）になってしまった少年。
学生としては日頃から予習復習をキチンとするタイプの優等生で成績も授業態度も良いのだが
スクールカーストでは不愛想で地味で目立たない眼鏡の真面目君というその他大勢ポジションについている。
とはいえ、当の本人は幼い頃から一人でいることが平気であったため、特に不満も羨望も持っていない。
良く言えばクールで客観的、悪く言えば理屈っぽく懸命に打ち込むものがない面倒くさいオタク。
趣味はアニメ、ゲーム、漫画、映画鑑賞（特にサメ映画）で、将来の夢は公務員。
好みのタイプは黒髪ロングでスレンダーで陰のある美人。

ヒロインは優しいオタギャル、ミステリアスなお嬢様。
一番のお気に入りは相原さんのオタ友にしてミッション系のお嬢様学校に通う社長令嬢、吉野詠美。
長く艶やかな黒髪、白い肌、黒曜石を思わせる冷たくも美しい瞳。
そして大人びた雰囲気にスレンダーな身体つきを有する、正に白百合の花といった感じの美少女。
言動の一つ一つに含みを感じさせる、神秘的あるいは小悪魔的な言動をよく見せているが
第一印象に反し、結構表情豊かで割と茶目っ気もあり、オタク知識も豊富。

現時点（一巻）においての評価はＣ。
オタク男子の理想を詰め込んでみました！　という強い主張が伝わってくる相原さんの魅力がとにかくヤバイ作品。
趣味が一緒で、自分の話を嫌な顔一つせず笑顔で聞いてくれて、スタイル抜群な美少女。そりゃ惚れるわｗ
交流のツールこそアニメやゲームとオタク要素が強いですが、だからこその特別感も出ていますしね。
そんな彼女に押されっぱなしな主人公にしても、想いを自覚してからの行動力には胸を打たれましたし
一巻クライマックスの告白シーンは私が今まで読んだラノベの中でも屈指の名告白だったと思います。
本筋は一巻終了時点で主人公と相原さんが事実上恋人として結ばれた形になっているので
次巻以降はひたすらイチャラブするだけになるのかな？　あんまり一巻と大差ない気がしますがｗ