ありふれた職業で世界最強 白米良(オーバーラップ文庫)
奈落の少年と最奥の吸血鬼が最強の道を歩む異世界ファンタジーストーリー。
大枠としてはクラス単位での異世界召喚+底辺から這い上がる最強主人公ものですね。
序盤の主人公が不遇な上ハードモード極まりないためかなりのフラストレーションが溜まりますが
そこを乗り越え、最強クラスの実力を手にしてからのダークヒーロー無双なカタルシスは申し分なし。
悪人はキッチリ情け容赦なく成敗されますし、主人公の味方もどんどん増えていくので読み味もスッキリ。
シリアス一辺倒に見えて、ネタに走ったりするなど、結構コミカルなシーンも多いですしね。
ラストは諸悪の根源たる神を完全撃破し、少年は最愛の恋人や仲間たちと共に故郷へと帰還するのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのユエを正妻としつつも、他ヒロインも受け入れてのハーレムエンドで終了。
主人公は現代日本から異世界に召喚され、非戦闘系の職業である「錬成師」となった少年。
自他共に認めるオタクで、学校のマドンナ香織に親身にされていることから周囲に敵が多い。
元々は積極性こそ見せないものの温厚で優しい性格だったが、奈落に落とされた後は理不尽な状況への絶望と
憎悪から精神の均衡が崩れ、敵と認識した者は容赦なく殲滅する冷徹さと傍若無人な尊大さを見せるように。
その一方で仁義を重んじており、自分が特別な存在だと認識している相手は大切に扱う。
観察眼に優れていて、相手の本質を見抜いたり戦況を冷静に把握して最善の行動をとることができる。
奈落からの脱出時点で白髪、義手、眼帯と厨二キャラ外見になってしまった。
ヒロインは素直クールな吸血姫、残念兎人、ドMな竜人姫、猪突猛進な治癒師、苦労人な剣士。
童顔熱血教師、おっとり未亡人、気さくな王女、勝気な投術師。他にも好意ありな女性が多数。
一番のお気に入りは生徒たちから「愛ちゃん」の愛称で慕われている社会科教師、畑山愛子。
実年齢(召喚時)は二十五歳だが、百四十センチほどの低身長に加えて童顔なため十代前半にしか見えない。
本人は威厳ある教師を目指しているが、可愛らしい外見が災いしてあまり成果は上がっていない。
生徒想いで、異世界に召喚された後も自分の身を顧みず生徒たちのことを第一に考えた言動をとっている。
それは変わり果てた主人公に対しても同様で、その誠意は彼の無心を動かすほど。
犯した罪に圧し潰されそうなところを救ってもらったことが切欠で主人公に明確な好意を抱くようになった。
現時点(十四巻)においての評価はB。
絶望を乗り越えてきたがゆえに敵対者に容赦がない主人公のダークヒーロー的格好良さがよかったです。
それでいて不器用な優しさも持ち合わせ、大事な人たちを大切にする姿もグッド。
そんな彼を慕うヒロインたちも癖の強い面々揃いではあるものの、それぞれ確かな絆が見て取れましたし。
ただ、敵だけに限らず不快感の強いキャラが多く出てきてストレスを感じやすかったのが難点かも。
とはいえ、そのほとんどは主人公たちによって因果応報を受けるので後を引くことはなかったのですが。
本筋は同情の余地のないラスボスを完殺、世界まるごと最終決戦、最愛の女性との絆で最強を超える。
そして問答無用のハッピーエンドと、王道と浪漫に溢れた最終巻に感無量の一言。
十四巻からは元の世界に帰還してからのアフターストーリー開始。