英雄覇道の狐巫女 岩山駆(オーバーラップ文庫)
「精霊獣」と呼ばれる存在が人間と共存し、長い歴史を歩んでいる世界を舞台にした新たな怪異譚。
伝説の狐巫女を相棒に魑魅魍魎と戦う和風現代ファンタジーな学園退魔バトルものですね。
普段は異性にタジタジで情けなく見えるけれども、荒事となれば手腕を発揮する主人公が格好いい。
過去に親から見放され、捨てられた存在が現在では修行の末に最強への道を歩んでいる。
という成り上がり感も実に少年心をくすぐる王道のカタルシスがありますしね。
ラブコメ面は今のところ進展なし。客観的にはメインヒロインの鈴狐が完全に正妻ですが。
主人公は英雄の血筋でありながらも小さな狐の精霊獣しか召喚することができず、実の父から勘当されるも
狐巫女と精霊界で修行を積み、瞬く間に退魔組織のトップエージェントにまで成り上がった少年。
やや気弱ともとれる大人しい性格で荒事を好まないが、自分よりも他人優先な気質であるため
自分のことでは怒ることはないものの、他人のためならば毅然とした態度をとることもしばしば。
本人は謙遜しているが、十歳時点で飛び級で高校を卒業していたりと頭が良い。
ヒロインは天真爛漫な狐巫女、忠義厚き蒼狼、男装の麗人先輩。サブにツンツン実妹やその友人たちなども。
一番のお気に入りは家のしきたりで男としての振る舞いを義務付けられている先輩、ベル・カーデナル。
短く淡い銀髪のショートボブにターコイズカラーの瞳の、中世的で浮世離れした儚さを彷彿とさせる美少女で
それに加えて気品ある雰囲気や立ち振る舞い、高い社交性が相まって女生徒からの人気は抜群。
落ち着いた物腰で大人びた態度を見せているが強かなところもあり、怒らせてはいけないタイプ。
その一方で、すこぶる負けず嫌いであり、負けっぱなしだと拗ねてしまうなど意外と子供っぽい一面も。
現時点(二巻)においての評価はC。
ストーリーや主要キャラのポジションなど、学園退魔バトルものとしては実に王道で読み易い作品。
キャラに関しては、日常パートの主人公が少々精神の未熟さが目立ちすぎてる感があるのが難点ではありますが
その分シリアス&バトルパートでの活躍がギャップ効果もあってか映えている印象。
ヒロインたちもそれぞれのスタンスで彼を支える姿が愛らしく、安定感がありますしね。
本筋は家族との確執を乗り越えることに成功するも、怨讐に囚われた古豪の精霊獣の脅威が間近に迫っており…?