こいつらの正体が女だと俺だけが知っている   猫又ぬこ(講談社ラノベ文庫)



油断しがちなふたりの男装女子と送る、実はハーレム同居生活な学園ラブコメストーリー。
複数ヒロインの中の一人にいるだけならたまに見かける男装女子ですが、メイン(しかも二人)がというのは
中々に珍しいですね。他の作品ならすぐに済ませる「男装バレ」を主題に持ってきているのも面白い。
まあ、正直状況に無理がありすぎるというか、ヒロインたちが迂闊すぎ&可愛すぎでなんで周囲にバレないの?
というツッコミを度々したくなりますが、それを気にしたら負けです。可愛いは正義。
男装をしていてもあくまで女の子! という点を強調したいのかお色気シーンも多めだったり。
ラブコメ面はダブルヒロインが主人公のお嫁さんになる気満々っぽいですが、さて。

主人公は七年ぶりに再会した男友達が実は女であることをバレないようサポートすることになった少年。
少々単純ではあるものの、誠実で友誼に厚く、困っている人を見過ごせない男気のある性格をしているが
ちょっと顔つきが怖いことと、面倒ごとに巻き込まれる体質のせいで幼馴染を除いて友達がいない。
引っ越す先々でナンパされている女子を助けるための流れで喧嘩を繰り返してきた結果
変に広がった噂のせいで「残念プレイボーイ」というあだ名をつけられ、周囲から怖れられている。
幼い頃自分を助けてくれた幼馴染二人の男らしさに惹かれてから身体を鍛え続けてきたため、結構マッチョ。

ヒロインは活発な男装娘、温厚な男装娘。サブにクールなメイドお姉さん、一生懸命なメイド見習いなども。
一番のお気に入りは白椿女学院で再会を果たした男装少女な幼馴染、胡桃沢忍。
後ろで一つに束ねられた色素の薄い髪に垂れ目がちの瞳、そして男装には無理がある巨乳を有する美少女。
物腰穏やかで心優しく女の子らしい性格な上、育った環境のせいか男らしさというものをかなり曲解しており
また、ライバルである花城真琴に対する負けん気の強さが災いしてボロを出しそうになることが多い。
いつも自炊しているため家事能力が高く、あと、ボディーガード志望なだけあって合気道を得意としている。

現時点(三巻)においての評価はC。
男装少女な幼馴染二人と主人公が同居することになるけれど、幼馴染同士は相手の正体に気付いていない。
そしてお互いに相手に正体がバレないようにしたいので主人公にそのサポートを務めてほしい。
というのがこの作品の基本骨子なわけですが……うん、皆バカばっかりだな!
でないとすぐにバレるだろ、という理屈はわかるんですけどね。この不条理さが売りなんでしょうし。
とはいえ、自分流の解釈で男っぽく振る舞うヒロインたちのお馬鹿可愛らしさは抜群ですし
立場的には羨ましくはあるけれど、気苦労が多すぎてご愁傷様な主人公の奮闘も見ていて楽しい。
本筋は達成すべき明確な目標や深刻な背景がなく、世界観もゆるゆるとストーリー性がかなり薄めなため
男装女子という尖ったネタだけでどこまで話を引っ張れるのかが気になるところ。