我が姫にささぐダーティープレイ 小山恭平(講談社ラノベ文庫)
いずれ王とならんとする少女のために執事が暗躍する物語。
大枠としては異世界転生+学園ものですね。主である少女の願いを叶えるために陰日向に奮闘する主人公。
と書けば美しい忠義の物語っぽい感じがしますが、実際の内容は良くも悪くもかなり酷いです。
主人公の主にしてメインヒロインであるラライは文句のつけようがないレベルのクズですし
そんな彼女のために、邪魔となる純心なライバルたちの足を平然と引っ張っていく主人公も最悪すぎる。
まあ、結果だけ見ると誰も不幸にはならないので後味の悪さはないのですが…
ラブコメ面は営利目的の恋人こそ複数いるものの、当の主人公本人には恋愛感情はない模様。
相手をちゃんと丁寧に扱ってはいますが、最終的にはどう責任をとるのだろうか。
主人公は異世界に転生し、主であるラライ・アッフィードを王にすべく暗躍することになった少年執事。
転生前は成績運動神経共に優秀、護身術を一通りおさめ、人望もそこそこで料理上手、処世術にも長けている。
とスペック的には申し分なかったのだが、幼い頃から父親という真性の王を見てきたがために
自身を凡庸と認識し、それゆえに王として生まれた者を隣で支える従者になりたいと願っている。
暗躍者としての一番の得意技は人の意識の隙間に入り込み、心を惑わすこと。
学園内では物腰丁寧な上、親切に振る舞っているため頼れる存在として重宝され、皆に好意を寄せられている。
他者を利用する事に躊躇いはないが、一度でも手を握ってくれた者の手を途中で振り払うことはしない主義。
ヒロインは問題児お嬢様、スイーツ脳剣士、被虐気質令嬢、寂しがりな猫獣人、生真面目メイド長、天才創作者。
一番のお気に入りは本当の自分を理解してくれる優しい王子様を欲する強豪剣士、ファナ・ハイレンロード。
小柄ながらも凛とした佇まいが目を引く、中世的な容姿の美少女。
大雑把でバカっぽいところこそあるものの、真面目で礼儀正しく、愚直なまでの努力家で熱血な精神論者。
上記の要素に加え、確かな実力と実績も相まり学園のヒーローとしての女性人気はかなり高い。
しかしその根底は慎重で計画的と学者肌であり、同時に男性経験ゼロなスイーツ脳チョロイン。
現時点(二巻)においての評価はC。
ここまで好感が持てない主人公とメインヒロインのコンビはいただろうか、とある意味感心したくなるほどの
ダーティープレイ容認主従がインパクト抜群。正に混ぜるな危険の見本のような二人である。
いやまあ主人公のほうは執事として主の為に最大限の努力をしているだけではあるのですが…
手段は褒められるものではないにしろ、やることは徹底していますし、結果論的には善行積んでますし。
それだけに、仕える主は選べよ! という至極まともなツッコミを入れざるをえないのですが。
本筋は剣術大会に優勝し、芸術部門でも優秀な成績をおさめ、次はいよいよ現生徒会長との対決の模様。