いるか寮の少女たちは恋できない   辰川光彦(電撃文庫)



恋愛嫌いのヒロインたちと、女性恐怖症の主人公の織り成すドタバタラブコメディ。
住居は自分以外は女の子のみ、通う高校は男女比率1:9の共学校。
女性恐怖症であるならば拷問としか思えない環境で、症状の克服を強制させられる主人公の姿は涙を誘います。
ヒロインも皆恋愛嫌いということで、男嫌いを代表として、テンプレに沿ったキャラばかり。
なので一巻も二巻も終盤まではアウェー感バリバリというか、デレがほぼ皆無なのでとっつきにくいところはあるかも。
主人公も女性恐怖症と性格的なこともあり、女性に対して強く出れない。
なので圧倒的に女性上位な展開が続き、フラストレーションが溜まる流れが長いですし。
設定や展開は鉄板王道そのものなので、深く考えずに読めるところは良いと思います。

主人公は女性恐怖症な高校二年生の少年。
女性に触られると蕁麻疹が出る上に、長時間それが続くと発熱や気絶も引き起こす。
ただしあくまでも体質的な問題なので、本人は普通に女の子に興味はある。なお、原因は不明。
ルックスは可もなく不可もなく、成績や運動能力、素行も普通と絵に描いたようなインドア派な凡人。
性格的には大人しめで日和見主義なところがある。女性恐怖症も相まって典型的なヘタレ系草食系男子。
ドジというか、本人に悪気はないのだが、ラッキースケベを起こすうっかりスキル持ち。
ただ、姉にいい子と評されているように、困っている人を見捨てられず、一生懸命になれるところも。

ヒロインは委員長気質なクラスメート、クールな生徒会長、天真爛漫な先輩、男嫌いなツン娘、家事が得意な後輩。
全員がデレるまで何巻かかるかが気になるところ。
二巻の時点でもお気に入りのキャラはなし。
ビジュアル的には生徒会長が気になるところですが。

現時点(二巻)においての評価はD。
設定的に、順番にヒロインの恋愛嫌いを主人公が解決していく流れの模様。
ということは、現在いるヒロインが全員デレるまで最低六巻はかかる計算になるわけで。
丁寧に一人ずつ態度が軟化していくのはいいんですが、やはり厳しいものがあります。
…ていうか、確かに女性恐怖症は将来的には治さないとダメだろうけど、荒療治にもほどがあると思う。
医者が推奨したわけではなく、素人の勝手な判断の元に行われているわけだし。
その辺、権力やら脅しやらで無理やり強制させられてる感があるのが少し引っかかるところ。
正直、狂言回しである理事長のキャラが結構ウザイです。
悪気はないとはいえ、パッと見は面白半分に主観を押し付けてるだけだし、主人公達の気持ちも考えろと。
こういう結果オーライだけで押し通すようなキャラで話を動かすのはなぁ…
あと、全体的に女尊男卑すぎるのも引っかかるところ。
ヒロイン側は男嫌いに理由があるから何やってもお咎めはない。
けれど体質で女がダメな主人公が拒否や拒絶するのは許さないし文句を言われるっていうのはなぁ…