暗黒騎士の俺ですが最強の聖騎士をめざします   西島ふみかる(GA文庫)



最強の聖騎士をめざす、常識はずれな暗黒騎士の物語。
大枠としてはスキルやレベルのある、ゲームっぽいファンタジー世界を舞台にした学園ものですね。
シリアス寄りの作風なのに少々設定が雑というか、勢い任せな部分が多いのが引っかかる点ですが
コメディな日常パートも熱さ溢れる戦闘パートも十分楽しめるので読んで損はない作品かと。
ラブコメ面は主人公が最強一筋過ぎて色恋に興味がないため今のところ進展なし。
ただ、背負った運命の相性から考えてメインヒロインのシエルが最終勝者になるのはほぼ確定っぽい?

主人公は暗黒系エリート一家で育った生粋の暗黒騎士にして聖属性アレルギーの少年。
国内では珍しい黒髪と、深い藍色の瞳。そして、無駄な肉が削ぎ落とされた身体の持ち主で
口調こそぶっきらぼうではあるものの、性格は真面目で単純一途な堅物であり
一度決めたことを決して曲げない、努力を努力と思わない、練習に疑問を抱かない。
そんなどこまでもまっすぐで頑固で愚直な精神性を有している。

ヒロインは清楚可憐な王女、猫かぶり聖騎士幼馴染、ツンデレブラコン死霊使い妹、勝気な賢者。
一番のお気に入りは神聖アステリア王国、真性御三家の筆頭であるソレル家の長女、ミリア・ソレル。
目の覚めるような金色の短髪と、まるで気位の高い猫のような少しつり上がった青く深い色の瞳
という、近寄り難い美貌と不思議な親しみやすさを併せ持つ美少女。
学園では高名な家柄の出にも関わらず、気さくで人当たりがよいためとても人気があり
レベルの高さに加え、実力も確かなことから「聖騎士の中の聖騎士」と呼ばれている。
しかし親しい者の前で見せるその実態は我儘でズボラでだらしなく意地悪と、割とゲス。

現時点(五巻)においての評価はC。
周囲から嘲笑され、適正はなくともストイックに強さを求め愚直に努力を続ける主人公が好印象。
この手のタイプの話における主人公の望みは最初に望んでいた形では報われないことが多いですが
当作品の場合はきちんと努力の成果が出ているので読んでいる側としても嬉しくなりますね。
そんな彼を取り巻くヒロインたちも、少々チョロいですが可愛くて頼りがいのある良い娘揃いですし。
本筋は遂に今までの事件の黒幕が判明。味方の戦力も充実しはじめましたが、事実上国家が敵に。
というかどんどん敵味方のインフレが激しくなっていますが、話が破綻しないのだろうかこれ…