八十八を三に割る 友野詳(MF文庫J)
後世に英雄譚として語り継がれる、神聖なる野生児の一騎当千の剣と魔法の美少女ファンタジー戦記。
タイトルは八十八の種族が共生する世界が三つの勢力に割れる、という意味らしいです。
主人公は女神の子で、それゆえに妹にあたる存在である八十八種族の姫巫女を救わねばならない。
そのために第三勢力として天下統一のために立ち上がる! というのが物語のコンセプトですね。
種族の数が数なので登場キャラの見た目も得意能力も多彩であり、中々読み応えがあります。
ラブコメ面は今のところ進展なし。というか、主人公の認識がヒロイン候補=妹だからなぁ。
主人公は女神リルアリアの子にして聖獣ストームライオンに育てられた野生児。
実直で前向き、シンプルな価値観の持ち主で、即断即決のみならず、決めればすぐに動く気質であり
加えて感情に振り回されやすいため失敗も少なくないが、きちんと反省できる素直さも持っている。
野生児であるがゆえに理知的ではないが、地頭は悪くないため学習能力はそれなりに高い。
行動の基準がストームライオンの教えとなっており、一度口に出したことは守らねばならないと考えている。
ヒロインは心優しき犬耳族、おっとり牛頭人。サブに軍師な闇森人、忠義厚き戦狼族、勝気な洗熊人など。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(一巻)においての評価はC。
ファンタジーな世界観で英雄戦記ものをやるというのはこういうことなのだ、と言わんばかりの作品。
主人公は聖獣に育てられた野生児であるがゆえに知性に欠け、王としては未熟な点が多いですが
頭自体は悪くないですし、土壇場で見せる王者の覇気とまっすぐな性根は頼もしいの一言。
そんな彼の下に集うヒロインたちも、種族ごとの外見的特徴(獣耳や尻尾)のインパクトがありますし
兄のために精一杯の力で頑張ろうとする姿が健気で可愛らしく、好感度大。
本筋は妹たちを救うため天下獲りに邁進する、というわかりやすい目標に向かって進むようですが
救うべき対象が八十八(現時点での仲間は三)というのは流石に多すぎではなかろうか…