アストロノーツは魔法を使う   天羽伊吹清(電撃文庫)



魔法の才能を導き、宇宙開発を担う人材を育成する教育機関を舞台にした、次世代育成宇宙ファンタジー。
ごく一部の女性のみが持つとされる魔法の才能に覚醒した男性である主人公が女だらけの学園へ。
そして敵意を向けてくるヒロインとの対決、人類を襲う正体不明の怪物(異星幻獣)との戦い。
と、大まかには学園異能バトルもののお約束要素が濃い感じの設定になっている作品ですね。
ただ、行動領域が宇宙という独自性がうまく活かされている描写も多いため、ありきたり感は薄いかと。
ラブコメ面は今のところ進展なし。というか義妹の思慕が強すぎて他ヒロインは太刀打ちできるのだろうか。

主人公は英雄を犠牲に助けられ、史上九人目の男性宇宙魔法士として覚醒した少年。
良く言えば割と神経が図太く、温厚でおおらかな性格。悪く言えばいつもヘラヘラして掴みどころがなく
女性に対しても、スケベさを表に出してしまうことが多く、デリカシーがない。
赤ん坊の頃、小型の救命艇に乗って宇宙を孤独に漂流していた経験から、自分と同じ思いをする人が
いることが我慢ならず、その誰かを助けるためならば危険も苦労も厭わない決意を抱いている。
昔、海で泳いでいた時に水死体を見つけてしまったことがトラウマで、幽霊が苦手。

ヒロインは控えめな大企業令嬢、気の強い義妹、ツンツン優等生、相棒な英雄。
一番のお気に入りは大企業「ブリュンヒルデ・コーポレーション」の現CEOの一人娘、萌黄・ブリュンヒルデ。
天使のごとき神秘性と、妖精のような愛らしさを同居させた美貌を飾る、肩や首筋にかかる程度の長さの
白銀色の髪と虹色の瞳が印象的な美少女。なお、身体の線は細いが胸は目測八十センチ台後半と大きい。
箱入り娘であることから男性に対する免疫がなく、大人しく控えめ、そしてネガティブな性格。
宇宙魔法士としてのランクはA、成績は学年主席、アーティファクト技師としても天才的と人並外れた才媛だが
その才能と肩書き、使う魔法が死霊使役という点が災いし、周囲からは怖がられ、孤立している。
ちなみに、陥没乳首がコンプレックス。

現時点(一巻)においての評価はC。
現代の宇宙飛行士は魔法を使う! という謳い文句のインパクトに惹かれたなら読んで損はない作品。
キャラに関しては、普段はヘラヘラして情けない印象があるも、イザという時は思い切った行動力と
活躍を魅せてくれる主人公がいかにも王道の英雄候補生といった感じで見ていて気持ち良いですね。
お色気シーンで恥じらう可愛らしさが魅力的なヒロインたちのビジュアルも申し分ないですし。
本筋は特異さを発揮し、大物の異星幻獣を撃破するという華々しいデビューを飾った主人公ですが
彼の力に目を付けた人類の各組織、今後も襲い来るであろう異星幻獣、他の男性宇宙魔法士の動向。
そして、主人公の謎に包まれた出生と、先行きが不穏だらけで次の展開が気になります。