ストライク・ザ・ブラッド 三雲岳斗(電撃文庫)
世界最強の吸血鬼となった主人公の織り成す、都市アクションバトルファンタジー。
主人公の持つ力は世界屈指レベルではありますが、物語開始時点では十全に使いこなせてはいないため
話の進行と共に順次解放&覚醒な段階的パワーアップという形になっています。
私個人としては成長の余地のある主人公最強モノは好物なので、望ましいタイプの構成ですな。
ヒロインの血を吸うことが力の開放条件というエロゲ一歩手前な設定もお色気&ラブコメ的に美味しいですし。
ラストは世界を支配せんとするラスボスを撃破し、吸血鬼の少年はいつもの日常を取り戻したのだったエンド。
ラブコメ的には十二人の血の伴侶を得て終了と、一見するとハーレムエンド風ではありますが…
実際は主人公が自分の意思を表明していないため、ちゃんとした決着はつかずというブン投げオチに。
まあ、未来からきた異母姉妹の存在もあるので、ハーレムを作ることになるのは確定のようですが。
主人公は世界最強の吸血鬼「第四真祖」として生きる少年。
性的に興奮すると(吸血衝動の代替行為として)鼻血が出るという難儀な体質。
常にぐーたらで、決して正義漢ではないが、目の前にある不幸や悲劇を見過ごすようなことはしない。
なお、女性に対しては体質のこともあり積極的ではないが、セクハラ言動は普通に行う。
本人に自覚はないが、かなりのシスコンで、同時に自分へ向けられる好意にはかなり鈍感。
ヒロインは監視役な後輩、凄腕ハッカーな同級生、ツンデレ弓使い、白銀の姫君、、尊大な吸血姫、聖女な王妹。
ボーイッシュな幼馴染、幼女な夢魔、純真律儀な剣巫、生真面目な修女騎士、クールな弓使い、腹黒な攻魔師。
一番のお気に入りは主人公の監視役として送り込まれてきた見習い剣巫な中学三年生、姫柊雪菜。
幼い頃から剣巫として訓練を受けていたため、裏の知識と戦闘力は優秀なのだが
その弊害として少々世間知らずなところがあり、主人公を困惑させることもしばしば。あと、機械類全般に弱い。
基本的に生真面目な性格ではあるものの、マスコットに目を光らせるなど女の子らしい一面も。
普段はクール系美少女として同年代の男子からの人気が高いが、意外にヤキモチ焼きで重いところがある。
評価はB。
主人公が吸血鬼なのでダーク色強めかと思いきや、意外にも正統派のバトルファンタジーに仕上がっており
突出した部分はない印象ですが、作品全体のバランスと完成度が高いのでスラスラ読めました。
ただ、数多くの危機的戦いを乗り越えつつも、いつまでも素人臭さが抜けない主人公は少し鼻につくかも。
その分ヒロインたちが有能かつ健気に頑張っているのでバランス自体は取れているのですが。
本筋は世界観を考えると、まだまだ敵も厄介事も満載なままと平和には程遠い状況での終了となりましたが
「第四真祖となった少年の物語」としては綺麗に一段落ついた形になっているので読後感は上々。
エピローグが短くアッサリしすぎていたので、欲を言えば後日談(特にラブコメ面)が欲しいところですが…