マモノな少女に囲まれたけど、果たして俺は「おいしい」のだろうか。 三鏡一敏(電撃文庫)
人化したよい魔物たちがひっそりと暮らす村で生活することになった不幸王子のほのぼのライフストーリー。
人間大好きな美少女魔物たちに囲まれて暮らせる、人間の王族の肉は何よりも美味。
ふたつの意味で「おいしい」主人公が村でスローライフをおくる、というのが主旨になっている話です。
主人公からすれば自分が王族であることがバレればアウトなので地味に緊張感もありますが。
なお、魔物や魔王が存在する世界観ではありますが、主人公が雑魚ということもありバトル要素はほぼ皆無。
ラブコメ面は今のところ進展なし。というか元魔物娘の結婚制度はどうなっているのだろうか。
主人公は妹であるトルチェの罠にはまり、魔王城へと拉致られるも命からがら逃げ出すことに成功し
元魔物たちの村「モンスティエラ」にたどり着き魔物少女たちと暮らすことになった王子。
守りたいものを守るために自分の命を差し出すことも厭わない強さとやさしさを持っているが
基本的にヘタレでスケベな上、間が抜けているため、格好をつけても大体は決まらない三枚目キャラ。
聖王家で最も求められる武芸の才能がないことから、周囲からは「無才の王子」と陰口を叩かれており
それから逃げるために王宮図書館に入り浸っていたので、読書家で魔物の生態に詳しい。
七光で騎士団長になった肩身の狭さから雑用を率先していたため家事能力は高め。
ヒロインは子犬系ケルベロス娘、ツンデレドラゴン娘、素直クールサイプロクス。サブに屈折ブラコン妹。
一番のお気に入りはモンスティエラ大図書館の司書を務めるサイクロプス、リュフェ・ノイギーア。
金色の長いツインテール、血のように真っ赤な瞳、十六歳なのに十二歳くらいにしか見えない小柄な体。
そして、右眼につけた眼帯と語尾に「ですます」とつける独特の喋り方が特徴的な美少女。
道場の娘だが暴力的なことを好まず、その上才がなく、また本好きであったことから司書の道を選んだ。
無表情で口調も淡々としているため感情が読み取りにくいが、知識欲は旺盛で、胸に秘めた情熱は大きい。
現時点(二巻)においての評価はC。
村に住み着くまでの経緯と、その後の正体隠しのプレッシャーを考えるとこの主人公不幸すぎである。
いくら可愛い元魔物美少女たちに好かれ、一緒に暮らせるとしても割に合わない気がする。
主要キャラたちによる掛け合い自体は楽し気ですし、何事もないうちは幸せそのものな環境ではあるのですが
平穏な日常を壊すトラブルメイカーな妹姫や魔王が常にスタンバイしているからなぁ…
本筋は主人公と元魔物娘たちの賑やかなほのぼの(?)スローライフが描かれていくようですが
一番の伏線になると思われた村の謎が解明され、しかも既に脅威はないということで少々拍子抜け。
聖王と魔王の因縁など、不穏を感じさせる要素はまだ残っていますが…