異世界チートサバイバル飯 赤石赫々(富士見ファンタジア文庫)
異世界に飛ばされた少年がやがて世界を食べ尽くす、異世界放浪最強グルメ活劇。
大枠としては異世界転移ものですね。獰猛な魔物がはびこる秘境からのスタートということで
当然命懸けのバトルシーンなども発生しますが、なんといってもメインは食事シーン。
主人公の能力が「食べたものの能力を得る」なので食事そのものが重要な要素になっているんですね。
舞台が異世界ということでゲットする食材はドラゴンをはじめとした現実には存在しないものばかりですが
見た目や味に関する描写がかなり丁寧なので、想像はできずとも美味しさを感じ取ることは容易かと。
ラストは強制的に欲のない世界を作らんとするラスボスを倒し、そして彼らは今日も旅を続けるのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのクララと結ばれて終了。なお、他ヒロインはそれでも一生ついていく気満々の模様。
主人公は突如異世界に飛ばされ「食べたものの能力を得る」能力を手にした食とアウトドアを好む少年。
朗らかで面倒見がよく、賢い判断を思い浮かべながらも困っている人を見捨てておけない性格。
基本的には思慮深く慎重だが、いざという時の思い切りの良さと切り替えの早さにも優れており
また、それなりにサブカルチャーを好んでいたため、超常現象への耐性があり、バイタリティに富んでいる。
食に対する興味の強さが原動力な野の動植物への強い関心と知識、そして趣味のアウトドアが高じた
遭難でもしなければ使う機会がないようなディープなサバイバル知識の持ち主。
ヒロインは天真爛漫な回復使い、合法ロリな神殿騎士、淡々とした眠り娘、勝気な冒険者。
一番のお気に入りは見た目ロリっ娘だが、実は十九歳の神殿騎士、カティア=フィロワ。
貴金属的な輝きを放つ長い金髪、年齢不相応な低身長(百四十三センチ)に見合う幼げな顔立ちの美少女。
責任感が強く、生真面目で実直、嘘を嫌う騎士然とした性格をしており、戦闘力もかなり高いが
自分の幼い外見がコンプレックスで、相手になめられないようにと言葉遣いは堅苦しい。虫が大の苦手。
いわゆる箱入り娘であり、同年代の異性とは殆ど会話さえしたことがないため、世間知らずなところも。
評価はB。
ファンタジー世界を舞台に、飯テロとチート能力が合わさって最強に見える…!
世界観だけ見ると滅茶苦茶ハードな環境のはずなんですが「食」がこれでもかと前面に出ているがゆえに
悲壮感やシリアスさを覚えることはほとんどなく、気楽に楽しんで読むことができる作品でした。
異世界にあっという間に適応してサバイバルと食を存分に楽しむ主人公は頼もしすぎますし
そんな彼に救われ、同行することになるヒロインたちも見ていて微笑ましくなるくらいの良い娘揃いでグッド。
本筋は秘境を旅しながら美味しいものを食べる、という方向性に最後までブレがなかったのがよかったですね。
クライマックスのラスボス関連にしても、きちんと「食」が問題解決の要因になっていましたし。