クレイジーハットは盗まない 神無月セツナ(ガガガ文庫)
近代ヨーロッパ風の世界を舞台にした、怪盗アクションファンタジー。
主人公が怪盗ということもあり、アクションやミステリー要素が主体の作品ですね。
魔術が世界観の核に据えられているため、オカルト色も強めな感じです。
ラブコメ要素やラッキースケベイベントが意外と多めでシリアス色が強すぎないのもグッド。
主人公らの抱える秘密や世界の裏側などがダーク調なだけに、雰囲気を明るくしてくれますし
何より、ヒロインたちの無垢で無防備な可愛さが素晴らしい。
ラブコメ面はダブルヒロイン制をとりつつ、各巻にゲストヒロインを登場させる方式の模様。
ただ、主人公には無意識の本命がいるようなので、最終的には一人を選ぶことになりそう?
主人公は人喰い帽子の異名を持つ、世界的な大怪盗の少年。
外見は美形なのだが、芝居がかった気障ったらしい言動がそれを台無しにしている。
また、立ち振る舞いは基本的に紳士的ではあるものの、平然と女の子にセクハラを働いたり
歯の浮くような口説き文句を発したりと、客観的には割とエセ紳士。
しかしそんな軽薄な外面とは裏腹に、その内面には、大事な幼馴染を助けるために
世界のシステムさえ敵に回す覚悟と強さ、そして誇り高さが秘められている。
ダブルヒロインとしてメイドな人形従者、騎士警察な幼馴染。
ゲストヒロイン枠にぼくっ娘歌姫、ボーイッシュな王女。
一番のお気に入りは主人公のメイドにして幼馴染、そして相棒な人形少女、アンティーク。
過去の事件が原因で感情表現が欠落しており、喜怒哀楽を顔に出すことはほとんど無く
普段の言動もツンと澄ましたものが主で、そっけない態度をとることが多い。
だが、その心の内は主人公への愛で満ちており、そのため人一倍嫉妬心が強かったり
たまに想いが溢れて甘えん坊な恋する乙女になったりと、実は感情豊か。
現時点(二巻)においての評価はC。
気障タイプの怪盗主人公という類似性から、ルパン三世や怪盗キッドを連想してしまいますが
重めの設定が主軸にあるということもあり、雰囲気はともかく話の方向性はあまり似ていません。
とはいえ、ライトノベルとして見ると、主人公はしっかりヒーローしており、ヒロインは可愛く
ストーリーはちゃんと起承転結していますし、全体の完成度は結構高めではないかと。
二巻ではグロ描写あり、本拠地壊滅、味方が大量に死亡と容赦のない展開で度肝を抜かれましたが…?