ユリア・カエサルの決断 遠藤遼(オーバーラップ文庫)
少女の夢が世界(ローマ)を変える異世界英雄ファンタジーストーリー。
歴史の偉人が女性になっている異世界に現代日本の少年が転移、というIF歴史系の話ですね。
基本的には歴史をなぞる形にはなっていますが、キャラが女性ならではの展開など、差異も多いです。
舞台設定は古代ローマがベースになっているものの、わかりやすい説明描写が所々で挟まれているので
世界史に詳しくなくても世界観は把握しやすいかと。勿論歴史好きの読者はより楽しめるのでしょうが…
ラブコメ面は現状メインヒロインのユリアが圧倒的に優勢ですが、他ヒロインの巻き返しははたして。
主人公はある日、月の女神を名乗る美女に異世界へと転送されてしまった少年。
好きな時代は古代ローマ、尊敬する偉人はローマの英雄ユリウス・カエサルというローマ好き。
真面目で誠実、お人よしな性格をしており、それゆえに必要以上の苦労を背負い込んでしまうタイプ。
色恋に対しては年齢相応の興味があるも、基本的にヘタレ。ただし無自覚に口説き文句を吐くことあり。
自身に恩恵はないが、自分がいることで周りの人がラッキーに遭遇する幸運体質の持ち主。
元の世界では歴史研究同好会に所属。成績はクラストップだったが、体育だけはちょっと苦手。
日本にいた時は休みの日に自分で生地から作るくらいピザが大好物。
ヒロインは女好きな問題児、クールな弁論家、ツンデレ金持ち娘、あけすけな幼馴染。
あと、妹分な奴隷娘や肉食系蛮族娘あたりが昇格候補っぽい?
一番のお気に入りは執政官にしてローマで最も有名な弁護士であり哲学者、トゥッリア・キケロ。
可愛らしく整っている目鼻立ち、小柄な身体つき、抜けるような色白の肌、慎ましやかな胸。
そして、右側は目にかかるほどに垂らし、後ろはアップにしている青い髪が特徴的な美少女。
抑揚の薄い、感情をあまり感じさせない声で喋り、怜悧な無表情がデフォルトなクール系で
知的で合理的、誇り高くお堅い性格の常識人だが、怒らせたら怖いタイプであり
また、かわいらしい扱いをされるのが好きではなかったり、人情に厚かったりと、中身は結構人間味がある。
現時点(一巻)においての評価はC。
全体的に結構歴史考証がキチンとされていることもあり、世界観はシッカリしています。
といっても、ドラゴンやら性別反転やら魔法やら、ラノベらしいファンタジー要素も加味されていますが。
ただ、その分説明文が多くなってしまっており、テンポが悪くなっている感があるのが難点。
しかしこの主人公、いきなり殺されかけるわ、異世界に実質的に強制転移させられるわ
過去の英雄の補佐という大役を押し付けられるわ、選択をミスったらアウトだわとハードモードすぎである。
まあ、有能で可愛らしいヒロインたちと仲良くなれるのだから必要経費なのかもしれませんが。
本筋は今のところ歴史に沿った流れで進んでいるようですが、不穏な空気も漂っているようで…?