魔法塾 壱日千次(MF文庫J)
笑いと感動を巻き起こす、はみだし魔術師たちの痛快魔法塾コメディストーリー。
大枠としては教官ものですね。舞台が魔法の飛び交う現代日本の学校、ではなく塾という
生徒たちとの距離が身近になりやすい場所になっているのが少し特徴的な点でしょうか。
作者さんお得意の変態乱舞ギャグ色は他作品と比べれば少し大人しめではあるものの健在ですし
理不尽な目にあっている主要キャラたちが困難を乗り越え、周囲の評価を覆していく様は爽快感抜群。
ラブコメ面は一巻終了時点でヒロイン全員からの好感度高めと環境的には申し分ないですが、さて。
主人公は魔法大国・日本のトップ魔術師に史上最年少で成り上がった天才でありながらも
仲間の裏切りに遭い、ニートに転落し、その後恩師の娘の頼みで魔法塾の講師となった青年。
名声を地に落とされてからは心を折られてしまっていたが、元々はまっすぐで義理堅く真摯な性格で
生徒を見る目と相手の実力に合わせて教えるのがかなり上手く、また、どんな生徒が相手であっても
親身に教え導こうと懸命になれる熱意があるなど、良い教育者としての資質を持っている。
ヒロインは生涯全敗の魔法騎士、死霊使いのお嬢様、屋根裏登校娘、ロリっ子塾長。
一番のお気に入りはネクロマンサー志望のサイコお嬢様、鳳条芙蓉。
吸い込まれそうなほどの目力がある紅い瞳に、濡れたように艶やかな長い黒髪、整ったスタイル。
そして、薄紫の着物を僅かに気崩して肩を出している様が粋になっている美少女。
少々世間知らずだが、容姿端麗、成績優秀、上品で超然とした口調と立ち振る舞い、嫌味にならない聡明さ
そして圧倒的なカリスマ性から、通っている白桜魔法女学院では完全無欠のお嬢様として扱われている。
しかしその本性は死霊術に偏った愛を抱く変態で、将来死霊の軍団を作ることが夢。
また、上記に関連して人体、特に骨に興味を持っており、主人公の骨に惚れこんでいる。
現時点(一巻)においての評価はC。
ニートでネット廃人な姿から「オイオイ」という第一印象だったのに、自分のドン底への凋落よりも
自分を育ててくれた魔法塾に仇をなしてしまったことを悔いる主人公が正に漢って感じで好感度大。
力が封印されている中、講師としての有能さと努力を見せてくれるところも頼もしいですし。
また、そんな彼に教え導かれるヒロインたちも問題児揃いではあるものの根は良い娘ばかりでグッド。
話の方向性も王道で熱血な展開が目立ちますし、バトルの痛快さも文句なし。
本筋は生徒たちの抱える悩みや問題を解決していきつつ、塾の再興を目指すという流れで進むようですが
強大な裏切り者たちや戦乱を起こさんとする国家の存在などもあり、一筋縄ではいかなさそう。