3年B組 ネクロマンサー先生   SOW(GA文庫)



人類殲滅を誓った教師と、人類との共栄を願う生徒たちとのファンタジー学園生活物語。
大枠としては教官ものですね。担当生徒が人類文化に憧れる心優しい低級魔族たちなわけですが
魔族視点では落ちこぼれではあるものの人類視点ではまともな彼らを主人公が破天荒な授業で育成し
意外な才能を伸ばしていくという、ある種のすれ違いものっぽい空気が面白いです。
こんな先生がいる学校なら通ってみたいかも、と思わせてくれるのがこの作品の魅力ですね。
ラブコメ面は主人公の恋愛トラウマもあってか今のところ進展なし。

主人公は勇者に振られたことで闇落ちし、人類滅亡を決意し魔族学校の教師となったネクロマンサーの青年。
マイナス感情に塗れたまなざしと不機嫌そうな表情がデフォルトで、痩身かつ不健康そうな外見の持ち主。
傲慢で尊大ながらも知識豊富で頭の回転も早く、実力も人類屈指と有能さは疑う余地なしなのだが
ネクロマンサーであるがゆえに他人から嫌われ続ける人生を送ってきた結果、コミュ障で口数が少なく
根暗でネガティブで世の中全てをひねくれた目でしか見れないような劣等感の塊になってしまった。
そのため、彼が生徒に聞かせる体験談は切ないエピソードしかない。
過去の出来事から名前を覚えるという行為自体を無意識のレベルで禁じるように習慣づけている。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

ヒロインは生真面目な委員長、明朗快活なゾンビ娘、こじらせツンデレ幼馴染。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
そうなってしまった理由こそあれども、どう見ても人間としては最悪なこじらせ系人格の主人公が
彼だからこそできる教育方法で生徒たちを導いていく姿が見ていて小気味良いです。
最底辺で劣等感を抱えているから相手を見下さず、長所を見つけられるというのは納得の一言ですし。
また、彼とは正反対に人間味のある魔族たちとの掛け合いも楽しくて良い感じかと。
その分、人間側に悪者というか、残酷で不快な者が多いのも良い対比になっており
だからこそ主人公たちが勝利した時の爽快感が抜群に映えていますね。
本筋は人類殲滅のために教師として頑張っていく主人公の姿が描かれていくようですが…
後に彼と彼の生徒たちによって人魔間の戦乱が終わると作中で既に語られているんですよねw