俺が彼女に迫られて、妹が怒ってる?   野島けんじ(MF文庫J)



ボーイミーツガールからはじまるドタバタオカルトラブコメ。
事例は希少ではあるものの、オカルトが公的に認められている現代日本が舞台になっています。
ラブコメにバトルに肌色成分と、色んな要素がふんだんに盛り込まれてはいますが…。
それぞれを単発で並べてるだけで、引き立てあってないというか、印象に残らない感じです。
ラストは抱えていた問題を全て解決し、ひよりと結ばれてハッピーエンド。

主人公は両親を事故で亡くし、妹と二人暮らしな高校生の少年。
事故以来、霊能力に目覚め、霊を見たり掴んだりすることができるようになった。
プロと比較しても、その霊的攻撃力と防御力はかなりのものがある。
正義感が強く、結構熱血漢。年頃の少年らしい女体への興味もしっかりと。
シスコンというほどではないが、凄く妹思いで、どんな時でも彼女を慮ることができるほど。
人柄は良いようで、周囲の人たちからは広く深く慕われている。
ただ、迂闊で浅慮なところもあり、そのせいで痛い目を見ることも多かったり。

ヒロインは堅物除霊師、幼児体型妹、お調子者巨乳除霊師、うっかり者な軍服除霊師。
一番のお気に入りはいきなり告白(?)してきた除霊師、桜ヶ丘ひより。
堅物かつ、威圧的な口調で、そのためか外面は美少女なのに人があまり寄ってこない。
貞操観念がかなり強く、胸を触られたり裸を見られたことをずっと引き摺ったりする。
……でもよく考えれば、それが当たり前で他のヒロインの方がおかしいんじゃなかろうか。
胸が小さく(絵的にはどう見ても普通レベルはある)そのことがコンプレックスになっている。
抱き枕がないと寝れないタイプ。あと結構嫉妬深い。

評価はD。
文章やキャラ同士の掛け合いは安定感があり、ラストの締めも綺麗でしたが、ただそれだけの作品でした。
ストーリー的に空回りしてる感がかなり強いです。「何故そっちへ行く?」と期待をスカされすぎるというか。
本筋もラブコメもそれぞれ散漫になってるだけで、ここが面白い!という部分がないんですよね。
物語の主役であるはずの主人公にもハッキリとした能動性がないですし。
常に無知と状況に振り回されてばかりなので、主人公としての存在感が薄く感情移入しにくかったという。
それと、終盤まで散々迷惑かけてきたキャラを急に最終巻で善玉にして良い扱いするのはどうなんだろう。
主人公がほとんど活躍してないこともあわせて、爽快感が全然なかったのですが。
あと、タイトル詐欺ではないのですが、タイトルと中身がどうもマッチしてないのもマイナス点。
このタイトルなら、もっとラブコメ要素を重視し、軽い内容にするべきだったと思います。
ブラコンな妹が女の子に迫られる主人公を見て怒るのは当たり前なんだから、もっとそこをプッシュするか
怒り(ヤキモチ)に特殊な意味を持たせるとかしたほうがよかったかと。