なぜ、勉強オタクが異能戦でもトップを独走できるのか? 霜野おつかい(GA文庫)
勉強オタクが己の信念を貫き通す、学園下克上ゲームストーリー。
学園異能バトルものにおいて、一芸特化の力で主人公が活躍するという構図はよく見かけますが
その一芸が「学業」というのは初めて見ました。しかも、意外に理に適っているように見えるのが凄い。
勿論「いや、その理屈はおかしい」と言いたくなる無茶な展開も多いですが、勢いで流せますしね。
異能バトルでは重要視されない学業という要素にあえて目を付けた発想力が光る作品です。
ラストは世界変革を望むラスボスの野望を食い止め、そして彼は今日も勉学に励むのだったエンド。
ラブコメ的にはヒロインの扱いはほぼ横一線のまま進展なしで終了。
主人公は戦闘力至上主義の学園で序列一位を目指す、三度の飯より勉強が好きな勉強オタクの少年。
常に自信たっぷりで無駄に前向き、誰が相手でも上から目線な態度に無礼な言葉遣いを崩さず
こうと決めたらテコでも動かない、そうそう人に気を使わない勉強至上主義者、とわかりやすく変人だが
何事に対しても真面目で本気であり、恥ずかしいことをなんの他意もなく言ってのける。
また、勝利にとにかく貪欲で、現状を打破するために必要とあらば、迷わず自分の身を差し出す覚悟と
どんな挫折な困難をも乗り越える不屈の精神の持ち主。信条は「結果良ければすべてよし」
人並外れた記憶力と観察力を有し、知識も豊富だが、長期入院をしていたせいで世俗には疎い。
ヒロインはツンデレ電撃娘、ですの口調な妹分、クールなテロリスト娘。
一番のお気に入りは天然系クーデレ(+ヤンデレ)なテロリストの一員、i(アイ)。
くせひとつない純白の髪、ほっそりとした面立ち、右が黄金色、左がコバルトブルーの虹彩移植な瞳を持ち
肌には僅かなくすみもなく、どのパーツも不自然なほどに整っている、黄金比の擬人化とも言うべき美少女で
頭には上品なレースのヘッドドレス、細かなフリルがふんだんに使われた豪華な黒のワンピースという
服装に加え、常に感情に乏しい無表情にひどく平坦で端的な口調が相まって、人形めいた印象が強い。
数学好きであり、主人公には同好の士として自身の所属する犯罪組織に勧誘するほどの好意を抱いている。
評価はC。
勉強が異能を捻じ伏せる! という一見意味不明なテーマが実にインパクト抜群。
どんな状況でも知恵で戦うという一点からまるでブレず、頭が良い馬鹿を地で行く主人公が面白頼もしかったです。
まあ、タイトルから受ける印象ほど無双はしていないので肩透かしな部分もありましたが…
これは彼一人ではなく、相棒と一緒に苦難の道を進んでいく物語なのでそこは仕方なかったかと。
実際、パートナーとなるメインヒロインの天音との相性はバッチリで、二人揃えば頼もしかったですし。
本筋は三巻完結という短い容量の中でストーリー上の伏線や、各ヒロインの掘り下げ&問題解決をキッチリこなし
綺麗に纏まっていましたが、それでも駆け足感は否めなかった印象。話も学外ばかりでしたし…
あと、散々外道行為を働いておきながら、散り際だけ実は良い人でしたムーブなラスボスの扱いもなぁ。