豊作出来! ゆうきりん(ダッシュエックス文庫)
農業で異世界を救う、のんびりファーム&ベジタブルライフストーリー。
草食が卑しいものとされているファンタジー世界で農業を普及させ、皆に野菜を食べさせよう!
というのがコンセプトになっている話です。大枠としてはいわゆる飯テロものになるかと。
なお、本作は異世界召喚ものでもあるわけですが、バトルや立身出世といった要素はほぼ皆無。
ちょっとしたトラブルが発生することはありますが、メインはあくまでほのぼのとした平和な日常です。
ラブコメ面は今のところ進展なし。というか現状そういう空気自体がほとんどない感じ。
主人公は日本の田舎で自給自足の生活をしながら、異世界で農業を教えることになった青年。
青いツナギと白いTシャツがトレードマークで、いかにも田舎の人間といった感じの口調が特徴。
純朴であけすけ、大らかにして豪快な性格をしており、突然異世界に召喚されても動じない胆力と
助けを求められればそれを快く引き受ける、驕ることのない人の良さを併せ持っている。
元の世界では天涯孤独の身で、山の中の古い民家つきの耕作放棄地で農業生活をおくっているらしい。
ヒロイン(というか女性レギュラー)は村の巫女、物静かな村娘、おませな村娘、しっかり者な村娘。
一番のお気に入りは主人公のことを「師匠」と呼び慕う、草に詳しい十三歳の村娘、シズル。
痩せた背中に落ちる長く黒い髪、そして単眼鏡から覗く赤い瞳が特徴の美少女。
元々は砂の国の民で、旅の途中で山賊に襲われ、両親を失い、村に引き取られたという過去を持つ。
そのため、世話になっているという負い目からか、周囲に対してどこか線を引いているところも。
聡明ながらも無口で大人しい性格だが、主人公と親しくなってからは徐々に感情が表に出るように。
現時点(一巻)においての評価はC。
とにかく読んでいてお腹が空いてくる作品。太らないよう夜中に読まないことをオススメします。
異世界で食を扱う話は基本的にハズレがないものですが、この作品は描写が丁寧なこともあって
ファンタジーでありながらも調理&食事風景を想像しやすく、それがより一層食の大切さを強調している印象。
まあ、使える野菜(しかも日本と同じ)が都合よく自生していたりと、多少ご都合主義な面もありますが…
キャラに関しては、異世界であってもまるで戸惑わず、生態のことまで考えて動く主人公が頼もしすぎます。
事実上役に立っているスキルは農業と料理だけなのに、このなんでもできる男感ときたら…!
もう一人の主人公である元冒険者の青年が農業という新しい道を見つけ、頑張る姿も清々しいですしね。
本筋は一巻同様農業を頑張りつつ草食を広めていく流れになると思われますが…?