勇者ですが異世界でエルフ嫁とピザ店始めます   城崎火也(ダッシュエックス文庫)



ハイカロリー勇者としてエルフの国に転生することになった少年の、ピザで世界を救う物語。
大雑把に言えばカロリー不足に喘ぐエルフたちをピザを振る舞って救う、いわゆる飯テロものです。
特徴的なのは、ピザ一品にスポットライトを絞っているところでしょうか。
アップルパイやコーラなどのサイドメニューも出てくるので厳密には一辺倒ではないんですけどね。
なお、主人公の保持能力はあくまでピザ作り特化なのでバトルや内政チートはありません。
シリアスな展開もほぼ皆無なので、ひたすらにゆるゆるなスローライフを楽しむのが吉。
ラブコメ面は内堀も外堀も埋めているメインヒロインヒロインのリリアが独走状態。

主人公はピザで世界を救うハイカロリー勇者としてエルフの国に転生することになった少年。
順応力が高く、物腰穏やかでお人よし。ただ、少々調子に乗りやすく厨二病気味なところがある。
人あしらいは上手いほうだが、強く押されるとハッキリ拒絶できずに流されてしまうタイプ。

ヒロインは食欲魔人な領主の娘、天邪鬼な女王、情熱的な商人の娘。
一番のお気に入りは十六歳という若さでエルフの国の女王を務める少女、エレオノーラ。
腰より長いゆるくウェーブのかかった豪奢なプラチナブロンドの髪に、薄青の瞳。
そして、立っているだけでまるで一幅の絵のような完璧な美貌とスタイルを有する美少女。
統治者としては非常に優秀で責任感も強いが、プライドが高く言動も尊大で見栄っ張りなため
自分の気持ちを素直に口に出せず、理不尽に怒り出してしまう天邪鬼なところがある。

現時点(一巻)においての評価はC。
ピザが大好物な私からすれば、この作品の調理&食事描写は飯テロ度が高すぎる…!
基本的にやっていることはピザを作ってエルフたちに食べさせているだけなのに、飽きが来ませんし。
まあ、舞台となる異世界はいたって平和ですし、エルフたちも別に餓死するレベルの貧困環境ではないので
「別に主人公を召喚する必要はなかったのでは?」という設定破綻が発生している気はしますが。
キャラに関しては、主人公もヒロインたちも皆毒のない人格をしているため、個性に欠ける感はありますが
その純朴さとわかりやすさがほのぼのとした世界観とマッチしている印象。
本筋はピザ屋を営みながら異世界の人々と絆を深めていくという流れで進んでいくようですが、さて。