正しい異能の教育者   朱月十話(講談社ラノベ文庫)



最強異能力者の少年がワケあり美少女たちを熱血指導する、アンリミテッド学園異能アクションストーリー。
大枠としては能力の制御ができず落第寸前のヒロインたちを指導する最強主人公、という構図の教官ものです。
主人公が学生も兼業しているという点は少し変わっていますが、それ以外は大体テンプレ通りの作品かと。
ヒロインたちとは一つ屋根の下で同居することになる上、主人公のラッキースケベ力は半端ないので
肌色成分多めなお色気ハプニングイベントも満載ですし、エンターテイメント性は抜群ですね。
まあ、主人公の異能がインフレしすぎていてバトルパートの緊張感はあまりないのですが。

主人公は記憶喪失の新入生にして、生徒を導く指導学生。
喜怒哀楽の表現が豊かで、いつも自分の心に正直、挑発されるとむしろ燃えてくる熱血型の性格。
また、本質的にポジティブで、この世の全ては正攻法で何とかなると考えているところがある。
指導者としては職責に忠実であり、生徒達に対する態度もいたって真面目で不純な念を律しているが
やはり年頃の青少年であるため、女の子の興味から能力を暴走させてしまうこともしばしば。

ヒロインは天然系健気娘、ですわ口調歌姫、関西弁元アイドル、ドS系お嬢様。
あと、ヒロイン昇格候補に面倒見の良い従姉やクールな念動使いなども。
一番のお気に入りは異性を誘惑する芳香を放つ能力に悩む少女、観音寺愛乃。
普段は黒く長い髪を三つ編みにして、前髪を目にかかるほど長めにし、伊達眼鏡をかけ、着痩せするような
服の着方をして目立たないようにしているが、その下に隠れた美貌とスタイルは元人気アイドルという
肩書きに違わない魅力を有している(特にバストは90センチの大台に乗っている)
口調は関西弁だが、能力が原因でやや引っ込み思案な性格をしており、男が苦手。
が、その一方で、男の身体に興味津々で妄想力も豊かだったりと、根はかなりのムッツリスケベ。

現時点(一巻)においての評価はC。
作品を構成する全ての点において良くも悪くもご都合主義が目立つ、というのが正直な感想。
ヒロインは全員チョロイン気味ながらも、主人公に好意を抱いてからの言動には可愛さが溢れていますし
主人公の綺麗事を誠意と実力で押し通すブレない熱血っぷりも見ていて清々しい。
ストーリー展開も少々盛り上がりにかける感こそあるものの、話がサクサク進むのは読みやすいですしね。
ただ、その分雑というか、明らかに不要な要素が多いため読み味がスッキリしないのはマイナス点。
主人公の記憶喪失とか全然活かされていないし、殺傷行為を働いた敵が事実上の無罪放免というのも…
本筋は今後も難アリな生徒達を指導しつつ、テロ組織と戦っていくという流れで進んでいくっぽい?