ドラどら王子シリーズ   愛坂タカト(講談社ラノベ文庫)



いきなり五人のヒロインがグイグイ迫ってくる、難易度ゼロのオールレンジ・ハーレムラブコメストーリー。
魔法のあるファンタジーな世界が舞台になってはいるものの、バトル描写はサックリ&少な目な上
国家間の陰謀や戦争、テロ組織の暗躍、魔王の侵攻といった不安要素もほぼ皆無と世界観はいたって平和。
王となる主人公の花嫁を選ぶために色々やるぞ! という単純な指針の元に話は進みます。
花婿が花嫁を育成するということで一応は教官要素もありますが、別に戦闘力や学力を鍛えるわけではないので
終始ノリも軽いですしね。ヒロインたちの抱える問題関連で少し真面目な雰囲気になるくらいでしょうか。
ラブコメ面は一巻終了時点で花嫁五人と結婚し、多国籍ハーレムが成立。
ただし正妻(誰が一番好きか)を決めるまでは初夜はお預けということになっているため性交渉はなし。

主人公は三年後に戴冠を控えたディバイル王国のドラゴン乗りのどら王子。
面白いことが大好きで、楽しむことが最優先という一国の王子らしからぬ享楽的な性格をしており
その上、喧嘩っ早く、気品もまるでないため、国民の大半からは快く思われていない。
その一方で、いつも陽気でポジティブな態度や一級品の戦闘力、下々の者への感謝を忘れない誠実さや
誰よりも相手のことを考えて、自分は後回しにしてしまうお人よしさに惹かれる者も少なくはなかったり。
腹違いの妹であるロイナを溺愛しており、彼女のこととなると我を失うこともしばしば。

ヒロインは積極痴女気味従妹、獣系グラマー美女、ツルペタ金髪王女、黒髪ポニテ剣豪、褐色爆乳元気娘。
あと、サブに健気ロリ妹、能面クールメイド、おバカな蛇娘、ブリっ子高飛車王女なども。
一番のお気に入りは科学技術に優れたバレトリア国の第二王女、ヴェヌセラル・ロイド・バレトリア。
平民の妾の子であること。そして、金髪の輝きの度合いによって美醜が決まるバレトリアにおいて
金髪に灰色のメッシュの入った髪を持つがゆえに、国民からは「灰かぶり王女」と蔑まれている。
ですわ口調が示すように、プライドが高く、愛国心の強い、勝気で感情的になりやすい性格をしているが
実は寂しがりやで、また、自分のことよりも他者のことを思いやれる優しさの持ち主でもある。
自分が貧乳であることを気にしており、そのため巨乳の女性を敵視気味。

現時点(二巻)においての評価はC。
話の軸に他の要素を入れず、あくまでハーレムラブコメに特化するという潔さが実に嬉しい作品。
登場するヒロインたちも、不快感をまったく覚えないまっすぐ素直な可愛さを持つ娘ばかりですし
花嫁を選ぶ立場の主人公も、フリーダムだけどそれゆえに無駄にウジウジしないところが見ていて気持ちいい。
とにかく可愛いヒロインたちの一挙一動に萌えたい、ストレスフリーな話を読みたい、という人にオススメ。
ただ、一巻と比べると二巻は少々ストレスの溜まる展開も出てくるので注意ですが。
本筋は三ヶ国を回る新婚旅行が終わるも、延長戦ということで次巻は四ヶ国目が舞台となる模様。