俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している 春日部タケル(角川スニーカー文庫)
突如得た理不尽な呪いによって、苦労を背負い込む羽目になった主人公のハチャメチャラブコメディ。
とにかく主人公の持つ「絶対選択肢」が面白酷すぎてたまりません。
前触れもなくいきなり脳内に現れる選択肢のうち一つを必ず実行しなければならないこの呪い。
どの選択肢も正解皆無の最低な内容のものばかりで、もう見てて可哀想になることこの上ない。
ギャグっぽく流されてますが、多分自分が同じ立場に立ったら一ヶ月と持たず自殺するレベルですよこれ。
ラストは絶対選択肢にまつわる一連の出来事は解決し、皆それぞれの道を歩き出す。
そして、主人公は今日も脳内選択肢に学園ラブコメを全力で邪魔されるのであったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのショコラと結ばれて終了。
主人公は日々を呪いによって苦労している高校二年の少年。
見た目イケメンで、性格的にもまともなのに、呪いのせいで変人扱いされている。
それどころか、外見はいいけど他がダメな人学内トップ5。通称「お断り5」にランクインしている始末。
本人には一切非がないだけに、実に不憫。なお、七巻にて「お断り男」に昇格している。
ただ、たまに深刻にへこむことはあっても、呪いに負けず生活しているあたり、精神的に頑丈。
そして呪いで鍛えられたおかげか、完全にツッコミ属性。ちなみに、性癖はガーターベルト推し。
ヒロインははらぺこ派遣少女、お子様お嬢様、暴言クールビューティー、腹黒清純派少女。
一番のお気に入りは一見するとクール美少女なのに「お断り5」にランクイン中の少女、雪平ふらの。
口を開けば無表情に下ネタと毒舌とボケを吐きまくるという掴み所のないキャラをしている。
しかしその実態は、気弱で奥手で極度の引っ込み思案で可愛いもの好き。
そして家事が得意で、自身の胸が小さいことを気にしている普通の乙女らしい女の子。
普段の残念キャラは、緊張から勝手に出てくる無意識(両親の悪い所に影響されている)のものだったりする。
評価はC。
絶対選択肢という斬新な設定や、個性豊かなヒロイン&サブキャラたちのおかげで中盤までは楽しめたのですが
諸悪の根源である恋愛の神様が登場し、ショコラに悲劇的設定がついてからはつまらなくなってしまった印象。
特に後者は、シナリオ的に彼女がヒロインに選ばれることがあからさまになってしまっていましたし…
そのため、主人公の選択が本人の意思というより悪い意味でのご都合主義にしか見えなかったんですよね。
折角キャラが立ちまくっていたサブキャラたちの扱いにしても、初登場巻以降は精々賑やかしに出てくる程度に
なってしまい「こいつら出す必要あったの?」と言いたくなる一方でしたし。
本筋も散々をフラストレーションを溜めておきながら、オチを形だけ綺麗にまとめてあとはギャグの勢いで
押し流しただけだしなぁ。なんというか、あらゆる意味で「神の手が見えすぎていた」のが痛かった作品でした。
評価については、中盤まではA、それ以降はEなので足して二で割ってCになったということで。
本当、ギャグだけやってればよかったのに、なんでシリアス(しかも重い)要素を入れたんだろうこの作品…