モンスター・ファクトリー アロハ座長(富士見ファンタジア文庫)
左遷された辺境の牧場町で王国騎士がおくる悠々自適な魔物牧場ライフストーリー。
美少女と同棲しながら牧場の手伝いをして生活する、というのが話のメインになっているわけですが
牧場で飼育されているのが魔物ということで、一風変わったスローライフが描かれています。
魔物食材を使っての飯テロ要素もありますが、結構美味しそうな描写になっているため空腹注意。
なお、魔物を相手にするだけに戦闘描写も用意されてはいますが、ほのぼの作風に反しガチな場面も。
ララストは仲間の協力と愛の力で人知れず強大な危機を退け、そして再び平穏な日々が戻ってくるのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのレスカと婚約を結んで終了。
主人公は戦闘に不向きな「頑健」の才を持つがゆえに辺境の牧場町に左遷されてしまった王国騎士。
目つきが悪く、生来の性格から表情があまり動かないため、相手を無自覚に威圧してしまう事が多いが
実際は真面目で責任感が強く、謙虚でストイックな性格(自己鍛錬が趣味)をしており
また、出世欲がないためか、他人の言葉を素直に受け入れられる柔軟性も併せ持っている。
ヒロインは包容力抜群な新米牧場主。サブに勝気な弟子娘、からかい好きな異世界人。
一番のお気に入りは主人公が来るまで一人で魔物牧場を営んでいた新米牧場主、レスカ。
薄桃色の髪を革紐で頭の左右に結び、腰あたりまで後ろ髪をそのまま背中に流した巨乳美少女。
明るく朗らかで包容力があり、色恋には初心と純朴な性格をしており、牧場主としてのやる気は人一倍。
加えて、動揺すると男の口調になってしまう癖を持っていたり、食いしん坊であったりと微笑ましい一面も。
その一方で、田舎娘な外面とは裏腹に、魔物に対する知識の深さと洞察力はかなりのものだったりする。
夢は叔父から譲り受けた牧場を一番の魔物牧場にすることと、戦う調教師になること。
評価はC。
魔物を捕獲し、繁殖させ、特性を活かし、食料や人々の生活を豊かにする魔物牧場。
という発想が中々面白かったです。設定の一部にそういう施設があるファンタジーものはよく見かけますが
施設(牧場)そのものが主舞台になっている作品というのが珍しくてよかったですね。
キャラに関しては、真面目でありながらも柔軟な適応力も持ち合わせている主人公が好感度大。
若くともメンタルが安定し芯がしっかりしているので、見ていて不快感を覚えませんでしたし。
また、ヒロインのレスカをはじめとして、町の住人達も(打ち解けてからは)気のいい面々ばかりでしたしね。
本筋は五巻完結と少な目の巻数ながら、過不足のない交流・成長の積み重ねがいちんと描かれており
また、最後まで優しくほのぼのとした空気も壊れることがなく、読後感も上々と完成度の高さを感じました。