オーバーイメージ   遊佐真弘(MF文庫J)



願いを叶えるために、謎めいた非現実的ゲームに参加する少年少女の物語。
ある程度のルールに則った能力バトルもので、そのおかげか世界観は結構しっかりしています。
キャラに関しても、きちんと戦う動機や心の動きが描写されているので、感情移入がしやすかったですし。
能力名&二つ名が中二要素満載具合が少し気になる点でしたが、作者さんは学生の模様。さもありなん。
ラストは主人公の望む、手に届く範囲にいる人々を救ってのゲームクリアでハッピーエンド。
ラブコメ面は強く言及されない曖昧エンドっぽい感じで終了。

主人公は突然危険なゲームに参加させられ、戦いに巻き込まれた高校生の少年。
正義感が強く、自己を犠牲にしてでも常に理想を追い求める損な性格をしている。
良く言えば正義の味方で善意の塊、悪く言えば偽善者といったところ。Fateの衛宮士郎タイプっぽい。
自身を慕う異性の幼なじみが三人、後輩が二人もおり、何気に勝ち組な人生を送っている。
かと思いきや、ゲーム敗北のペナルティで周囲の親しい人たちを不幸にしてしまった過去を持っていたり。

ヒロインは金髪ツンデレ、黒髪貧乳ロリ先輩、巨乳ヤンデレ気味幼なじみ、愉快犯な元敵対者。
元気印な後輩と無口な後輩。後は最後のほうで幼馴染二人、後輩一人は滑り込み参入したっぽい?
一番のお気に入りは見た目小学生な先輩、魅影魅黒(名前の魅の字は代用)
過去に主人公に助けてもらった事があり、そのことから忠誠ともいえる思慕を彼に向けている。
年齢の割に自身の容姿が幼いことを気にしており、年長者ぶる事が多い。
しかし、その姿はどう見ても背伸びしたがっている子供そのもので、努力が報われているとは言い難かったり。
普段は他者との係わり合いを嫌い、無表情に過ごしているため「氷の女王」と揶揄されている。
微妙に古めかしい口調が特徴的。視力が悪く、たまに眼鏡をかける。

評価はC。
所々見た事があるような設定や荒削りさがあるものの、全体的に上手く出来てる作品だと思います。
イラストは目を惹かれますし、ヒロインたちも魅力的でシナリオも筋道が結構しっかりしていますし。
ただ、良くも悪くも主人公のキャラが評価の分かれ目になっていた印象。
ラスボスの評する「機械的な正義漢」な聖人君子キャラが、あわない人にはとことんあわない感じでした。
ちなみに私はダメだった読者。共感どころか、気持ち悪さすら感じたのが正直なところ。
青臭いとかを通り越して、正しすぎるんですよね。しかもそれを結果的に周囲に押し付けるし。
まあ、この主人公だからこそ救われているヒロインがいて、話としても成立していたわけですが…