魔導GPXヴィザード・フォーミュラ 竹井10日(角川スニーカー文庫)
世界を救った元英雄が新たな戦場として挑む、爆速×快感のフォーミュラカー・レースバトル。
レーシングカーバトルというラノベではまず見ないジャンルが目を惹きますが、動力が魔法という
ファンタジー成分が加わっているため、素人でも取っ付き易い文章になっています。
魔法の必殺剣をマシンに宿して行使する必殺走法など、少年漫画的要素も登場するので見栄えもいいですし。
また、ドライバーとナビゲーターが走行中に密着してエロいことをすればするほどマシンが速くなる
というあからさまなお色気シーン狙いの設定も、摩訶不思議な勢いを作品に与えているかと。
ラストは苦難とライバルたちとの激闘をこえて世界大会優勝を果たし、そして次の大会へエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのセナリィがやや優勢気味ながら、進展はないまま終了。
主人公はレーシングチーム「ルーン・ハイアット」のレーサーとなった十八歳の魔導騎士。
四年前、十四歳の若さで当時世界を支配していた魔王を単身で倒し、平和をもたらした英雄だが
その強大な力ゆえに権力者達に隠棲を強いられ、世界に絶望し、人生の抜け殻のようになってしまい
溌剌として前を、上を、ただそれだけを見ていた純真さは徐々に朽ちていき、物語開始時点では
良く言えば大人びて落ち着きのある、悪く言えば感情に乏しく覇気のない性格になってしまった。
しかし、自分を必要とし、助けを求める人を救いたいという熱い気持ちは胸の奥に残り続けている。
ヒロインは超巨乳ナビゲーター、天真爛漫なオーナー、唯我独尊な皇女、マイペースな教皇、超ブラコン妹。
あと、サブに肉食系な母娘や元奴隷なメイドなども。
一番のお気に入りはチーム「ルーン・ハイアット」の十七歳ナビゲーター、セナリィ・乙橘。
108センチのJカップ爆乳とお嬢様口調が特徴的な美少女で、実は現皇帝の隠し子に当たる存在。
真面目で気が強く、騎士然とした性格だが、身に纏っている雰囲気には高貴さが漂っている。
ハンドルを握ると目つきごと性格が変わる(ハイになる)タイプ。
評価はC。
剣と魔法のファンタジー世界でレーシングマシンバトルという発想がまず凄すぎである。
それでいて、ちゃんとひとつのラノベとして面白いのだから流石は竹井10日さんと感心の一言。
世界を救った英雄なのに、日陰者として生きることを強いられてきた主人公が今一度表舞台に羽ばたく
という展開は燃えましたし、相棒としてエロ行為に翻弄されつつも頑張るセナリィも破廉恥可愛かったです。
レースで優勝を競うライバルたちやチームの仲間達も皆個性抜群で賑やかでしたしね。
本筋は二巻完結ということで、省略が多く駆け足感が強かったですが、話そのものは綺麗にまとまっており
レースものらしく読後感は爽やかだった印象。レースにしても、どの勝負も盛り上がりは十分でしたし。
ただ、だからこそもっとジックリ巻数をかけてのレース模様を楽しみたかったのも確かなのですが…
キャラの掘り下げにしても、必要最低限はできていたとはいえそれだけで終わってしまいましたしねぇ。