漂流王国 玩具堂(角川スニーカー文庫)
異世界から亡命してきた漂流王国メヘンと融合した日本の十六門市を舞台にした、英雄(アイドル)育成物語。
アイドル活動がメインではありますが、その他にも近未来都市と異世界の融合、勇者にエルフにドワーフ
終いにはゾンビが出てきたりと、これでもかとばかりに色んな要素がカオスに詰め込まれている作品です。
しかし、勇者を戦い以外で英雄にするためにアイドルユニットデビューさせるとか、発想が天才的過ぎである。
ファーストライブの成果=ゾンビの全滅というぶっ飛び具合からして、まともな展開は望めそうにありませんが。
ラブコメ面は公私におけるライバルの登場で、ヒロインたちに危機感が出てきたようですが…?
主人公は十六門市の市長の息子にして、メヘンの巫女王から今代の勇者の手伝いを依頼された少年。
日本人としては背の高いほうだが、もうじき十八歳になるにしてはやや幼い印象がある。
どこかのんびりした雰囲気を持っており、マイペースで落ち着いた穏やかな性格だが
その一方で、子供の頃から孤独なヒーローを助けたいというニッチな使命感を抱いて成長したため
困っている人を見れば世話を焼かずにはいられないお節介人間になってしまった。
また、普段は弱腰で日和見なところがあるが、一度頑固になると決して譲らないという一面も。
異性に免疫がなく、その上自覚なきシスコンであることから彼女が出来たためしはない。
ヒロインはボクっ娘勇者、ナルシストエルフ、庶民派ドワーフ、ツンデレ実妹、新人アイドルな元同級生。
一番のお気に入りは食堂「地の塩」亭の看板ドワーフ娘、潜楽ノエル。
おかっぱ頭に柔らかな輪郭の眼鏡、そこに和風の給仕服がとても良く似合う美少女で
ドワーフらしく褐色肌の身体は小柄だが、その一方で胸は大きかったりする。
明るく素直で愛嬌があり、健気で気立ての良い性格をしており、メヘン在住者にしては比較的常識人。
ただ、日本文化をところどころ誤解して覚えているため、唐突にボケてしまうこともしばしば。
十三姉妹の末っ子、しかも年子の姉二人が双子なため、名前を間違えられることが多く
それが自己顕示欲に繋がるちょっとしたコンプレックスになっている(一人称が自分の名前なのはそのため)
現時点(二巻)においての評価はC。
設定のトンデモ加減がまず目を惹きますが、一方で世界観や状況に対する説明がシッカリしているので
物語への入り込みやすさという点では問題なし。まあ、仕方ないとはいえ一巻の説明描写は多すぎですが。
キャラに関しては、主人公の家庭環境から形成された心の歪みが少々引っかかる点ではありますが
他者のために一生懸命になれるところは好感が抱けますし、ヒロインたちはなりゆきとはいえ
アイドルとして選ばれただけあって、華のある魅力と存在感がそれぞれの個性を引き立てているかと。
本筋は毎巻アイドル要素を絡めた奇想事件の天外解決を経てファンを増やしていく方向性で進む模様。