異端の神言遣い 佐藤了(ファミ通文庫)
神に祈りを捧げることで魔法が発動する世界を舞台にした、ルール無用の異世界革命ファンタジー。
言語化さえできればミサイルだろうがドラゴンだろうが魔法で生み出せて、魔物にも使用可能。
だからこそ、語彙があればあるほど、言葉の意味を知っていれば知っているほど有利で
そして、イメージ力が強いほど、すなわち厨二病であるほどに強力な魔法を作り出せる。
という設定は中々に面白いですし、主人公たちが無双する上手い理由付けになっていますね。
ラブコメ面は今のところ進展はなし。ヒロイン側からの好感度自体は高いようですが…
主人公はある放課後、クラスメイトの女子三人と共に突然異世界フレアルードに飛ばされてしまった少年。
人付き合いが苦手で、元の世界ではクラスメイトとは常に一定の距離を保つようにしていたが
冷めているようで根は熱い正義感の持ち主であり、困っている人を放っておけない性格。
また、過去の経験から、誰かがさしたる理由もなく尊厳を踏みにじられることと、誰かを助けられる力を
持っているのにそれを使いもしないで安全なところから笑っている者を許せないと考えている。
趣味はゲームと漫画で、中学二年生の頃に邪気眼系の中二病だったことが黒歴史。
ヒロインは快活な剣道少女、物静かな文学少女、音楽家なギャル、凛々しき自由騎士、妹分な黒猫娘。
一番のお気に入りは休み時間どころか授業中でも本を読んでいる読書好きの文学少女、高山萌絵。
少々重たそうな髪を短いお下げにした童顔の美少女。なお、小柄な体格の割には胸は大きい。
大人しく物静かな性格だが、空想世界に慣れているためか転移組の中では異世界に対する順応力が一番高く
また、考察力や応用力にも長けているが、その一方で強かで発想に容赦がなかったりと底知れない一面も。
実は小説の官能シーンに興味津々だったりと、ムッツリスケベなところがある。
現時点(二巻)においての評価はC。
ガチガチに凝った設定だと見せかけて、実際はかなりファジーな魔法設定が面白いです。
主要キャラたちが各自の特色を活かして強力な魔法を生み出し、活躍する様も見ていて爽快ですしね。
反面、どうしてもシリアス色やバトルの緊迫感が薄くなってしまっている感はありますが。
キャラに関しては、少々正義感の強さが前面に出すぎな主人公の言動が鼻につく印象があるものの
前後でフォローは入っていますし、後悔の過去という理由付けもあるので不快感を覚えるほどではないかと。
まあ、ヒロインたちも割と自己主張が強い面々ばかりですし、バランスという意味ではちょうど良い?
本筋は元の世界への帰還方法を求めて旅をしていく、という流れで進んでいくようですが
魔法を厳格に取り締まる国や教会の目という不安要素もありますし、前途は多難の模様。