魔迷宮のセイレーンが歌いません 関根パン(ファミ通文庫)
左遷されたエリート上級悪魔と鳥魔四人娘が贈る、ダンジョントークコメディストーリー。
ダンジョン攻略を目指す冒険者達を撃退することが役目な、敵側たる悪魔の視点が描かれているわけですが…
剣や魔法を駆使した白熱のバトル要素や、悪辣な罠を設置するなどのクリエイター要素はほとんどありません。
ダンジョン内の歌唱室でヒロインたちがお喋りするだけの、トーク要素がメインになっています。
主人公が指揮するセイレーン部隊第八班は歌え(わ)ないので、代わりに麻痺効果のあるトークをダンジョンに
流して冒険者を妨害しようという発想なわけですね。うん、聞くからに頭が悪い(誉め言葉)設定である!
ラブコメ面は今のところ進展なし。一応フラグが立っているヒロインは一人だけいるようですが…
主人公は突然の降格人事により閑職極まる「セイレーン魔歌隊」の隊長にされてしまった上級悪魔。
スタイリッシュなダークスーツに身を包んだ、赤髪、有角、有翼、有尾の外見が特徴的なインキュバスで
自分のことを「我」と称し常に偉そうな態度をとっている。野望はいつか魔王代になること。
真面目で向上心が強く、出世欲に溢れており、どこにいても結果を出すなど能力自体は優秀なのだが
自己顕示欲の強さと独善的な部分が足を引っ張る見通しの甘さから失敗することもしばしば。
ただ、反省からの思考の切り替えが早く、どんな苦難にもへこたれない精神力の持ち主でもある。
ヒロインは天真爛漫なセイレーン、アネキ肌のセイレーン、真面目なセイレーン、だるだるセイレーン。
一番のお気に入りは班の中では最も(唯一)まともだが、歌う時は声が小さいセイレーン、ポエン。
長い銀髪に眼鏡、背中の大きな白い翼、そして何よりも大きな胸の膨らみが目立つ美少女。
気弱なところこそあるものの、物腰穏やかで礼儀正しく、口調も丁寧。
真面目で素直で純粋な性格をしており、考え方も常識的で職務に関する真っ当な知識も有している。
しかし、その純粋さゆえに嘘や冗談を真に受けることも多く、そのせいでポジションは弄られ役。
現時点(一巻)においての評価はC。
ダンジョンという本来ならば敵味方共に命懸けになるフィールドが舞台になってはいるものの
殺し殺されな死人が出るような描写はなく、終始お気楽ほのぼのとした雰囲気が続くので安心して読めます。
ヒロイン四人によるラジオ放送風のボケツッコミの応酬な掛け合いトークも楽しく笑えますしね。
やる気はあるけど空回りばかりで最後まで格好がつかない主人公も地味に存在感抜群ですし。
というかいくら人気だからといって、悪魔に冒険者からのファンレターが届くとか、この世界緩すぎである。
本筋は眠り続ける魔王の存在など伏線らしきものこそあるものの、話が広がっていく気配はなさそう。
今後も中身のないトークが中心になっていくと思われますが、そもそも続きは出るのだろうか…