VRMMO学園で楽しい魔改造のススメ   ハヤケン(HJ文庫)



VRMMOゲームを授業に取り入れた特別な高校を舞台にした、最強ゲームライフストーリー。
学校の授業そのものをVRMMOの中でやる、という「こんな学校あったらいいな」な世界観通り
デスゲーム要素やテロ組織の暗躍、国家の陰謀といったシリアス成分は欠片もありません。
勿論VRMMOのプレイが前提である以上、モンスターやプレイヤーを相手にしたバトルシーンはありますが
基本的には仲間たちと試行錯誤しながら和気藹々とゲームを進めていく日常がメインになっています。
ラストは何事もなく二年生に進級し、俺たちの魔改造はこれからも続くぜエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインの青柳あきらと結ばれて終了。

主人公は最弱ジョブや使えないスキルを魔改造して輝かせるのが趣味な、ゲームに情熱を注ぐ高校生。
学園では息をするようにゲーム内で最弱の呼び声高い職業「紋章術師」を選んだ。
人当たりがよく、物怖じしない、前向きでカラッとした性格。一言で言うなら頭のいいバカ。
ネトゲ廃人歴が長いだけあって、ルーチンワークに強く、トライ&エラーを苦にしない。
両親の「好きなことをとことん突き詰めろ」という教えの影響で、熱中したら周りが見えないタイプ。
色恋については興味がないわけではないが、それが全てとは考えていないためガツガツしたところがない。
好きな言葉は「魔改造」「覚醒」「ジャイアントキリング」
ロジックのある勉強は得意なため数学は成績優秀だが、とにかく知識を覚えるだけの教科は苦手。

ヒロインは明朗快活なネトゲ友達。サブにしっかり者な委員長、インドア派なギャル。
一番のお気に入りは主人公のクラスで委員長を務める少女、前田琴美。
黒髪ロングの、ちょっとツンとしたような雰囲気がある大和撫子風の美少女。
クラス委員を務めているだけあって、しっかり者で責任感が強く、真面目で面倒見もよかったりと
典型的な委員長気質だが、ゲーム初心者のため弱小ジョブとされる「学者」を選んでしまう。
また、外見と言動からくるクールな印象とは裏腹に可愛いものに弱く、ハンドルを握らせるとヤバイ。

評価はC。
柔軟な発想の転換と地道な検証を経て、ゲームを楽しく攻略し、勝利を掴み取る!
というのが話の方向性の基本骨子になっているので、ほぼストレスフリーで読み進めることができました。
学校のシステムが特別であっても、特に裏があるわけではないので不安を覚える必要もなかったですし。
また、ゲームを常に全力で楽しみ、青春を本気で満喫している主人公の姿も見ていて気持ち良く
ヒロインたちもそんな彼に引っ張られるように活き活きとした顔を見せてくれるのがよかったですね。
本筋は達成すべき大目的やシリアスな問題が発生するこということはなく、ただひたすらにゲームな学園生活を
楽しむだけという、拍子抜けであり、けれど不安なく読める雰囲気が一貫しているのが素敵でした。
あえて難を言うなら、親しくなる美少女が多数登場するのにメインヒロイン一強だったラブコメ面でしょうか。
メインヒロイン以外は当て馬とか対抗馬とか、それ以前にフラグが立つ気配すら欠片もなかったからなぁ…