魔王さまと行く!ワンランク上の異世界ツアー!! 猫又ぬこ(HJ文庫)
旅好きな魔王と女騎士たちによる、グルメ天国な魔界を旅する異世界ツアー物語。
主人公が異世界に召喚されて魔王に就任という設定にはなっていますが、人間との戦争は先代魔王の時点で
終結しているため勇者や軍隊と世界の命運をかけたバトル! みたいな展開はありません。
もっといえば、その後の荒廃した魔界の復興。すなわち内政も本編開始時点でほぼ終わっているので
内容としては人間界との外交(という名の接待旅模様)がメインに描かれています。
戦争を望む勢力の存在もありますが、主人公の強さゆえに深刻さは薄いですし安心して読めますね。
ラストは主人公と女騎士たちの尽力によって人魔友好の平和が実現し、そして彼らは再び旅行へエンド。
ラブコメ的には進展がないまま終了。ただ、エピローグでヒロイン全員が魔王城に住み込むことになったので
客観的にはハーレム状態ではありますね。後々嫁取り騒動とかは絶対あるでしょうし。
主人公は人間界との戦いで荒廃した魔界の復興のために日本から召喚された青年。
人間界との平和を願い、人間界の有力者を魔界に呼び、魔界の魅力を知ってもらう計画を立案する。
どこか抜けたところこそあるものの、優しげな顔つきが示すとおり、穏和で人懐っこく
いつも他人のために一生懸命と、人畜無害極まりない、まるで魔王らしくない性格をしている。
百年前に魔界にやってくる前からの旅行好きで、それゆえにグルメ&観光知識が豊富。
また、旅費を稼ぐために様々な仕事を経験しているため、料理など色々な技能を修得しており
特に、魔法を織り交ぜたマッサージは極上の気持ちよさを相手に与えるほど。
ヒロインは実直な騎士、知性派騎士、男勝りな騎士、ロリババア紅竜、アウトドア派な騎士、インドア派な騎士。
絵描き好きな騎士、裁縫好き騎士、独善正義騎士、寡黙騎士。あと、サブに異端審問官の少女たちなども。
一番のお気に入りは聖一三騎士団第五席についている一騎当千の女騎士、フレイヤ。
かわいらしい顔立ちに、雪のように白い肌、小柄ながらも女性らしい身体つき。
そして、鮮やかな銀髪が目を引く美少女だが、可憐な容姿に反し気性は男勝りで言葉遣いもガサツ。
また、努力家ではあるものの、性格的には短気かつ好戦的で負けず嫌いな面が強い。
しかしその一方で、一度信じた相手には人が変わった様に誠実&友好的になるなど、根は犬気質。
えっちなことが大の苦手で、過去にエロ本を読みまくることで耐性をつけようとしたが、失敗。
本の中で女の子を襲うのは大体オークだったため、オークへの恐怖心が深く根付いてしまう結果に。
評価はB。
主人公が案内する現代日本とファンタジーが上手く融合した魔界観光地の魅力がヤバすぎる。
主要キャラ一行による旅の満喫っぷりが実に羨ましい。マジでこの異世界を旅行してみたいんですが…
キャラに関しては、魔王なのに板についたツアーガイドっぷりを見せる主人公がイイ味を出していましたし
ヒロインである女騎士たちも、各自の個性に沿ったリアクションが面白可愛いかったです。
本筋は形としては円満かつ綺麗に纏まってはいたものの、最終巻でいきなり駆け足展開になっていたのが残念。
残る四人の女騎士は紹介なし、今まで外道行為やってた教会幹部は教皇が和平を命じたからもう大丈夫。
所々で描写されていた恋愛要素は最終巻だけ完全スルー、と正直スッキリしない部分が多い読後でしたし。
まあ、元々ほのぼの路線の話だったから、何かに決着をつけるようなオチにはできなかったんでしょうけども。