異世界温泉に転生した俺の効能がとんでもすぎる   七烏未奏(MF文庫J)



異世界の温泉に転生してしまった温泉好き少年と美少女達の日常&トラブルストーリー。
エルフや魔族、モンスターなどの人外。剣や鎧、果てには自動販売機といった無生物。
今まで数々のパターンがありましたが、遂に液体という固体ですらない転生先ときましたか。
温泉ということは、利用者である美女美少女たちの着替えや裸が見放題なんだよなぁ。
しかも人聞きの悪い言い方をすれば、入浴=自分の身体の中に入ってくる、なわけで…
実体化には制限があるとはいえ、食事も睡眠も必要ないわけですし、羨ましすぎる生活である。
ラブコメ面は今のところ進展なし。そもそも、温泉が恋愛(における行為が)できるのかという疑問が。

主人公は地方の温泉に向かう途中で死んでしまい、異世界の温泉に転生してしまった少年。
利用客に対しては「温泉の主にして神」を名乗っており、意識して尊大な言動をとっているが
元々は享年十六歳の一般市民でしかないため、行き当たりばったりでボロが出やすい。
また、中身はあくまで年頃の青少年なので、ヒロインたちの裸に興味津々だったりする。
過去に両親が死んで心が荒んでいた時、温泉に凍り付いていた心を救ってもらった経験から
温泉として誰かの心と身体を温め、癒し、幸せにしたいという気持ちが強い。

ヒロインは勝気なエルフ冒険者、おっとり神官、しっかり者な幼村長、生真面目な妹エルフ、湯信者なドワーフ。
一番のお気に入りは妹の病気を治すための旅をしているエルフの冒険者、レティシア・クルリララ。
金髪のスリーサイドアップに、澄んだ宝石のような碧い瞳、そして長く尖ったエルフ耳が特徴の美少女。
生真面目で勝気な性格をしており、人前では意地を張ることが多いが、根は素直なツンデレ。
一人でお風呂に入っている時によく独り言を言ってしまう癖があったりと、結構抜けているところがある。

現時点(二巻)においての評価はC。
体力魔力の即時回復や状態以上回復、更には湯を浴びた敵の弱体化もできるとか主人公温泉便利すぎ問題。
美少女達に入浴してもらえるどころか、浴槽掃除という名の身体洗いまでしてもらえるわけですし
入浴する側だけでなく、入浴される側までもが極楽とか、奇抜な発想にもほどがあるんですが。
とはいえ、どこからどう見ても出オチにしかならないはずの「主人公が異世界の温泉に転生」という要素を
息切れ感なしにここまで上手く調理し、読んでいて面白い話に仕上げる手腕は感心の一言。
本筋は温泉としてのレベルアップに伴う様々なお客さんの来訪によるトラブルが描かれていくという
お店経営ものに近い感じの方向性で話が進んでいくようなので、息の長い展開を期待したいところ。