だれがエルフのお嫁さま?   上月司(電撃文庫)



百年ぶりに生まれた男エルフの、とても真面目な嫁選びファンタジックラブコメディストーリー。
男エルフの子供はとびきり優秀になるといわれているがゆえに子供目的で結婚を望むヒロインたちと
嫁選びのための共同生活というドタバタな日常劇が描かれている作品ですね。
実にご都合主義的な設定な上、お色気イベントも満載とあざとさ全開ではありますが、それがいい!
男の夢ともいえるシチュエーションの数々を小難しさなしに素直に思う存分楽しめます。
ラブコメ面は環境自体はハーレムな上、純粋な好感度も順調に上昇中と良い感じですが、さて。

主人公は百年ぶりに生まれた貴重な男エルフ。
エルフでは珍しくない黒っぽい灰色の髪に碧色の瞳の、有体に言えばぱっとしない顔立ちの持ち主。
真面目な性格で人間寄りの感性と常識を有しているが、基本的に受身かつ流されやすいことも相まって
周囲に振り回されてばかりの苦労人ポジションが板についてしまっている。
色恋については慎重で固い考え方をしているが、エッチなことに全く興味がないわけではない。

ヒロインは真面目貧乳エルフ、元皇族の魔法使い、開けっぴろげな食人鬼。
なお、今後も花嫁候補という名のヒロインが追加されていく模様。
一番のお気に入りは元皇族にして優秀な魔法使い&薬師な二十八歳、イツミ=アカツキ。
長くて艶やかな黒髪に、スッと細い眉と淑やかな微笑みが印象的な和風美人。
ですわ口調に加え、佇まいやちょっとした仕草に気品があり、優しい大人っぽさが溢れんばかりなのだが
年齢にコンプレックスを持っていたり、うっかり者なところがあったり、魔法の研究に注力しすぎて
貧乏生活&行き遅れてしまったり、想像力が豊かで思い込みが激しかったりと、中身はかなり残念。

現時点(二巻)においての評価はC。
基本的にラブコメ度数の高い作品なので、ヒロインたちが主人公にあの手この手で迫る様を楽しむべし。
立場的にヤリ捨てが可能なんだし、個人的にはもっと主人公には吹っ切れて欲しいところですが
まあそうなっちゃうと話が成立しなくなってしまいますし、このもどかしさこそが肝だからなぁ…
そんな彼を陥落させんと奮闘するヒロインたちはあくまで子種が目的というスタンスからのスタートですが
それだけに、主人公自身にデレていく過程がニヤニヤできますね。
本筋は特にシリアスな要素のある世界観ではないということもあり、ずっと日常話が続いていくっぽい?
ただ、二巻のあとがきを見る限り、打ち切りの気配が濃いようですが…