転職アサシンさん、闇ギルドへようこそ 真代屋秀晃(電撃文庫)
嫌われジョブの美少女たちと過ごす闇ギルドな日常を描いたドタバタコメディストーリー。
後ろ暗さの代名詞たる闇ギルドが舞台になってはいますが、ダーク&シリアスな展開はほぼ皆無です。
主要キャラたちがガチ悪事を働くことはないですし、周囲からの評判が最悪という設定以外は
尖ったところのない、平和なファンタジー世界の騒がしき日常がメインになっている作品ですね。
勿論、冒険者お約束のバトル描写もありますが、コミカル成分が強めなのでノリは基本的に軽めですし。
ラストは魔神を復活させんとする魔族幹部の野望を打ち砕き、しかしいつも通りに悪評だけをバラまくことになった
主人公たち闇ギルドは自らの足で立ち上がり、魔王打倒の冒険へと旅立つのだったエンド。
ラブコメ的には特に進展はないまま終了。フラグが立っていたヒロインは何人かいたようですが…
主人公は大賢者として名を馳せていたが、とある事故でアサシン(レベル1)に転職してしまい
そのせいで能力すらも全て失い、大手ギルドから追い出される羽目になった現代日本からの異世界転生者。
誰かの笑顔を守るために頑張れる正義を愛する心と、自分の非を素直に認められる潔さを持っているが
目つきが悪いため「怖い」という印象を持たれてしまいがちで、その上初対面の相手と話すのが苦手で
根が消極的、とコミュ力が低いせいで日本に居たころから友達ができず、賢者時代も単独行動ばかりだった。
普段は常識的だが、ストレスが爆発するとブチギレて見境がなくなり、短絡的に動いてしまう悪癖持ち。
ヒロインは気弱なネクロマンサー、戦闘狂のバーサーカー、世間知らずの聖職者、魔獣使いの幼女。
あと、元同僚なツンデレホーリーナイトがサブ扱いでいる感じでしょうか。
一番のお気に入りは骨と死体に興味津々な変人ネクロマンサー、ノルン。
長くて淡い栗色の髪に大きな垂れ目。そして、黒いマントに黒いとんがり帽子が特徴的な美少女で
小柄だが意外とボリュームのある胸と、女の子らしいむっちりした身体つきの持ち主。
いつもおどおどしている気弱な性格だが、死者関連のこととなると別人のようにテンションが上がる。
主人公の頭蓋骨の形を気に入っており、そのせいで一巻ラストまでは彼を男扱いしていなかった。
評価はC。
街最強の大賢者から嫌われ者のアサシンへ、という主人公の頂点から底辺への転落模様が悲惨過ぎる…
新たに所属したギルドのメンバーは一癖あるを通り越した少々頭のおかしい女の子ばかりですし。
まあ、美少女オンリーであり、可愛い一面も持ち合わせているのが唯一の救いではありましたが。
とはいえ、最低の環境でも腐らずに己の正義を貫かんと頑張る主人公にはエールを送りたくなりましたね。
本筋は残念ながら打ち切りのようですが、話の骨子であった闇ギルドへのスタンスや主人公の目的に関しては
キッチリ決着がついていましたし、ひとつの物語としては綺麗にまとまっていた印象。
個人的には是非魔王打倒への冒険編が読みたかったのですが…