デスゲームから始めるMMOスローライフ   草薙アキ(富士見ファンタジア文庫)



生産最強スキルを駆使して嫁キャラと過ごす快適生活を描いたスローライフストーリー。
ログアウト不可、ゲームの死は現実の死という典型的なデスゲーム設定の話になっていますが
そんな中でゲーム攻略&脱出を目指さず、あえてほのぼのとした日常ものをやろう!
という、いわゆるドロップアウト組に焦点を当てるという発想が中々に目新しい。
ただ、その割には結局命懸けで戦う場面もあるため、結局中途半端になっている感もありますが。
ラブコメ面は好意を寄せてくる美少女四人との同居生活というハーレム環境ですが、さて。

主人公はあらゆる物を生産できるパッシブスキル「DIY」を持つβプレイヤー。
現実世界ではネクラで友達も少ない、模型製作を趣味にしているだけの三流大学生。
なんだかんだで面倒見の良い性格をしており、目の前で困っている人を見捨てられないタイプ。
中学時代のフォークダンス以降、女子と手を繋いだことがないほどに異性との接触に免疫がないが
女体へのスケベ心は自重をあまりしない&プライドを捨てるレベルであったりする。

ヒロインは自称嫁な記憶喪失娘、元最強の猫娘、死にたがりな妖精、アホの子ドワーフ、癒し系爆乳歌姫。
一番のお気に入りはレアパッシブ「ダウジング」を有するフェアリーアバターの少女、シーナ。
艶やかな黒髪に整った顔立ち、そして寝ぼけ眼と堅い口調が特徴的な美少女。
現実世界では容姿端麗、品行方正、文武両道を貫く漫画のような優秀な学生だったのだが
周囲が望んだ自分で在り続けていたがために自分がわからなくなり、全てに無気力になってしまった。
が、それゆえに自分の素、すなわち全てを受け入れてくれた主人公に懐くことに。

現時点(四巻)においての評価はD。
これわざわざデスゲーム設定でやる必要あるのか? というのが正直なところ。
真面目な攻略組は皆のために必死に戦っているんだよなぁ、と考えると毎度複雑な心境になってしまう…
勿論、主人公やヒロインたちにもそれぞれの事情があり、スタンスの違いでしかないというのはわかるのですが
このスローライフに気分が乗り切れない世界観がどうしても足を引っ張っている印象ですね。
主人公に懐きまくりなヒロインたちは見ていて萌えるので、結局は割り切れるかどうかが評価の鍵かと。
本筋は攻略なんか知るかとばかりに好き勝手な日常を過ごす主人公たちの姿が描かれていくようですが…
主人公のパッシブスキルと手に入れた重要アイテムは明らかにクリアに必要になりそうですし
何よりも、記憶喪失なメインヒロインのまさかの正体を考えれば、後のシリアスは確定っぽい?
四巻ではまさかの「実はデスゲームじゃない」疑惑が出てきましたが…