ギャンブル・ウィッチ・キングダム   菱川さかく(GA文庫)



賭け事の勝敗で全てが決まる世界を舞台に、賭博師の頂点を目指す少年のギャンブルファンタジーストーリー。
知恵と策謀、洞察力を頼りにギャンブルに挑む主人公、という構図が実に浪漫に溢れています。
不運であるがゆえに相手が誰であれ常にギリギリの勝負になってしまうため、毎度緊張感が途切れないですし
世界観やストーリー構成、キャラの造形もしっかりしているので、読み応えもバッチリかと。
一応大枠としては復讐ものになりますが、シリアス一辺倒ではなくちゃんとコミカルなシーンや
ヒロインたちとのラブコメ&ラッキースケベイベントも用意されているので緩急も文句なし。
ラブコメ面はポジション的にメインヒロインのリゼットがかなり優位だと思われますが、さて。

主人公は自分から運を奪った魔女を殺すために賭博都市ラズウェルの頂点を目指す少年。
「運に見放されし者(ラックレス)」の異名通り、昼夜問わずの不運持ち。
華奢な体つきと寝癖気味の黒髪、世を呪うような目つきの銀色の瞳という容貌に加え
常に無愛想な表情が痩せ犬を思わせるが、苦労続きの人生ゆえに態度は年齢の割に老成している。
不運と長く付き合っているがゆえに、物事の見方が悲観的で疑い深く、用心深い性格をしており
また、極力運以外の部分で勝利を掴もうとしていることから、洞察力に長け、頭の回転も早い。
その一方で女心には極端に疎いため、ヒロインたちをヤキモキさせることもしばしば。

ヒロインはお人よしの駆け出し賭博師、賭博協会の優しき職員。
一番のお気に入りは賭博戦を管理する賭博管理協会の職員、アリシア・レティス。
麦色の髪をおさげに纏めた、野花のような楚々とした雰囲気を有する童顔眼鏡美人で
加えて、小柄な身には似つかわしくないほどの巨乳の持ち主であるために男賭博師たちからの人気は高い。
心優しく、真面目で誠実な性格だが、それゆえに苦労を背負い込んでしまうことも多かったりする。
主人公のことを特に気にかけており、職分の範囲で手助けをすることもしばしば。

現時点(二巻)においての評価はC。
亡き父の「幸運は最後まで使うな」という教えを胸に、運に頼らない戦いを繰り広げる主人公が格好いい。
相棒であるリゼットもギャンブルに向いていない馬鹿正直っぷりが良い清涼剤になっていますし
対峙する敵側も倒して後腐れがないキャラばかりなので倒した時の爽快感があります。
本筋は仇である魔女を探すために賭博師として成り上がっていく、という流れで進んでいくようですが…
六人いる最上位の賭博師を筆頭に、倒すべき相手はかなりの数のようですし、まだまだ先は長そう?