勇者が修羅場すぎて世界を救ってる場合じゃない   岩波零(講談社ラノベ文庫)



RPGと恋愛シミュレーションが同時進行するファンタジーラブコメストーリー。
異世界召喚、魔王討伐、主人公以外は美少女のみのパーティー。と設定だけは王道っぽく見えますが
女性陣の体には見えない爆弾が仕掛けられており「好きな人(主人公)が自分だけのものにならない」と
知った瞬間地球もろとも吹っ飛ぶという制約があったりと、裏事情が面白恐ろしい作品です。
好感度が下がれば起爆を防げるので、当然主人公はヒロインたちに嫌われようとするわけですが
ことごとく行動が裏目裏目に出るコメディっぷりが不憫ながらも見ていて実に楽しい。
ラストは大魔王を倒し、ゲームクリア。人知れず地球は救われたのだったエンド。
ラブコメ的にはエピローグ後、魔王の力で現実世界が一夫多妻制になってヒロイン全員と結婚する模様。

主人公はある晩、三人の少女と一緒に初期装備がバスタオルだけのRPG世界に召喚された少年。
少々優柔不断な性格ではあるものの、基本的に常識人であり、ツッコミ属性の持ち主。
勉強も運動も秀でたものはないが、頭の回転は速く、危機において奇抜な発想を捻り出すこともしばしば。
色恋には人並みに興味津々だが、何故か好意を寄せてくる女の子は皆変人ばかりだったりする。

ヒロインは負けず嫌いなクラスメイト、年上の巨乳幼馴染、無邪気な理系従妹。
一番のお気に入りは隣の家に住む一歳年上(高三)の幼馴染、神舞真奈美。
セミロングの金髪とサファイアのように碧く輝く瞳、そして推定Eカップの胸を持つ美少女。
名門の女子校に通っており、普段は物腰穏やかで清純そうな雰囲気を身に纏っているが、怒らせると怖い。
また、色恋のこととなると、妄想たくましかったり想い人の望みであればアブノーマルな性癖を
あっさり受け入れる懐の深さを見せたりと、変な方向にアグレッシブなところがある。

評価はC。
頭を使って裏技的にゲーム風の異世界を攻略していく冒険パートだけでも十分楽しめますが…
凄い、三人の美少女に言い寄られているという構図なのにまったく主人公のことが羨ましくない!
一人地球滅亡の危機を抱え込む羽目になるわ、ヒロインたちは肉食系過ぎるわと同情しか抱けません。
なまじ思考がまともなだけに、拒否権なしの三股に苦労する彼の姿は涙なくしては見れませんでした。
まあ、色んな意味で頭が悪いストーリーには笑いが止まりませんし、読み心地自体は抜群だったのですが。
あと、表紙を筆頭とした肌色成分だらけの挿絵やお色気イベントの多さも目に嬉しかったですし。
本筋は事実上ストーリーがあってないようなものであり、二巻に至っては完全に蛇足な感じでしたが
好き放題やってる感を最後まで崩さずに突き抜けきったことだけは感心の一言でしたね。
しかしこの主人公、近い将来絶対ストレスか腎虚で早死しそうである。