学年トップのお嬢様が1年で偏差値を40下げて
ギャルになっていた話
                        あさのハジメ(講談社ラノベ文庫)



再会した幼馴染のお嬢様はエッチなギャルになっていた!? な学園ドタバタラブコメストーリー。
タイトル的に考えてグレたヒロインを更生させる話かと思いきや、全然そういう要素はありません。
というか、ギャルも偏差値もあまり本筋に関係ないです。実にタイトル詐欺である。
基本的にはヒロインたちが巻き起こすトラブルに振り回される主人公、という構図がメインの話ですね。
なお、ヒロインの正体がサキュバスということで、お色気シーンの登場率はかなり高めだったり。
ラストは、これからも騒がして賑やかで少しだけやかましい日常は続いていくよエンド。
ラブコメ的には十六夜小夜と結ばれるも、残るヒロイン二人は諦める気はない宣言をして終了。

主人公は突然家出して押しかけてきた従姉妹の姉妹と同居することになってしまった少年。
良く言えば真面目で社交的、処世術に長けており、悪く言えば腹黒で捻くれた性格をしている。
普段はノリのいい優等生を演じることをポリシーとしており、仮面を維持する努力も怠っていないが
根は熱血なのか、イザという時は後先考えずに動いてしまうタイプ。
なお、すこぶる眠りが深く、一度寝たら朝までまず起きない。

ヒロインはギャルなお嬢様、ドSなお嬢様、変わり者なクラスメイト。
一番のお気に入りは第二美術部部長なクラスメイト、十六夜小夜。
華奢でスレンダーな身体、さらさらと流れるようなツーサイドアップヘア、そしてどこかミステリアスな雰囲気を
醸し出す物静かでシニカルな表情が特徴の美少女で、成績は優秀、歌も超上手いと正に才色兼備。
しかし、他人の裸をデッサンすることが趣味で、過去には入学式の挨拶でスピーチ代わりにアカペラ熱唱したりと
奇行が多いため、校内では変わり者扱いされ、人付き合いが苦手なことも相まって友達は少ない。
普段はシニカルな態度を気取って隠しているが、実は時々ありえないレベルのボケをやらかす超ドジっ子。

評価はD。
全体的に薄味すぎるというか、何がやりたいのかよくわからない作品でした。
メインであるラブコメにしても、キスやお色気を安売りしているだけで付随するコメディもシリアスも中途半端。
キャラに関しても、主人公は作中で腹黒扱いされていますが全然そうは見えないから違和感ばかりでしたし。
とにかくコレジャナイ感が強いんですよね。特に必要のない要素や描写が多すぎるというか…
折角ヒロインたちは皆可愛く描かれているのだから、もっとシンプルでよかったと思うのですが。
本筋は事実上、メインヒロインの神楽坂双葉が主人公に振られるまでの物語になっていたわけですが
それだけに、オチが「失恋はしたけど諦めないし、同居も続ける」というのは少々拍子抜けだった印象。
いや、個人的にはハーレムエンドの可能性が残ったわけだから歓迎すべき展開ではあったのですけどね。