救世の背信者 望月唯一(講談社ラノベ文庫)
ダメ教師とエリート少女の凸凹師弟が綴る学園異能バトルアクションストーリー。
大枠としては教官ものですね。人類に仇なす化物と戦う錬金術師を育成する学園が舞台になっており
基本的な設定はお約束通りなので目新しさはないですが、その分安定した読み味が楽しめます。
主人公とメインヒロインの関係性の変化過程や掛け合いもテンポがよく、王道的ですし
シリアス&バトルパートでの二人の絆を前面に押し出した熱い展開も申し分なしかと。
ラストは世界の危機を退け、そして彼らは過去を乗り越えて前に進んでいくエンド。
ラブコメ面は特に進展がないまま終了。ヒロイン側からの好感度は高かっただけに残念。
主人公はかつて世界に七人しかいない達人の一人にして最高の錬金術師だったにも関わらず
現在は全ての名誉を失った最低の錬金術師として落ちぶれつつ学校の教師をしている少年。
物怖じせず、どんなに邪険にされてもめげない人懐っこい性格をしており
常にふざけた態度で息を吸うようにセクハラを働くため、教え子達からは舐められているが
その実、たとえ命懸けで守っている人々から悪意や敵意を浴びせられても、まっすぐ自分を曲げず
後先すら考えず、自分の信じたことのために身命を賭す、という硬い意志をその身に秘めている。
ネクタイをしたワイシャツの上からパーカーを羽織るという、謎のファッションセンスの持ち主。
ヒロインは孤高の天才少女、ロリ巨乳学園長。
一番のお気に入りは錬金術師の治安維持組織「星の守護者」のスーパールーキー、久住悠里。
スレンダーなスタイルに肩まである明るい色の髪、紫がかった灰色の瞳を有する美少女。
主人公と出会うまでは、その隔絶した才能が原因で孤立してきたがゆえに個人主義を貫いていたが
それは決して他者を拒絶していたわけではなく、自分が誰かを傷つけてしまうことを嫌っていただけで
素は誰よりも心優しく義理堅く、そしてヒーローに憧れる純真な性格をしている。
実は胸が小さめであることがコンプレックス。
評価はC。
普段はセクハラ発言ばかりのロクでなしだけど、胸の内には絶望に抗う強さを秘めている。
そんな日常と鉄火場でのギャップが魅力な主人公と、ツン期とデレ期の落差が魅力なメインヒロイン悠里。
ボケツッコミトークな日常からのシリアスな展開といい、とにかく転換の上手さが抜群に光っており
独自性にこそ欠けるものの、抱いた期待にはキッチリ応えてくれる作品といった感じでしたね。
本筋は主要キャラ三人の掘り下げや成長こそきちんと描かれてはいたものの、やはり二巻完結では色々と
物足りなさが残るばかりだったというか、プロローグで話が終わってしまったような印象を受けました。
まあ、敵が「星の抗体」である以上、ラスボスを倒して世界は平和になりました、完!
というのは不可能なため、俺たちの戦いはこれからだエンド以外やりようがないのはわかるのですが…