14歳とイラストレーター むらさきゆきや(MF文庫J)
理想と現実、そして欲望に振り回されるイラストレーターのガチな日常を大公開な物語。
題材がライトノベル作家ではなく、イラストレーターという部分が珍しいお仕事ものです。
業界あるあるネタをはじめとして、リアルなイラストレーターのドタバタな日常が描かれていますが
実際のところお仕事部分は添え物程度で、メインは私生活面でのラノベ的ご都合主義イベントの数々ですね。
十四歳のコスプレイヤーに懐かれて色々やってもらうとか正直「それなんてエロゲ?」の極みだもんな…
まあ冷静に考えたら明らかに事案な展開が満載ですが、だがそれがいい! 羨ましい! ということでひとつ。
ラブコメ面は八巻にて主人公がメインヒロインのJCに事実上の告白(無自覚)をし、関係が少し進展。
未だ主人公が恋愛感情を理解していないとはいえ、果たして他ヒロインの巻き返しはあるのか。
主人公は半年前、デビュー作のラノベがアニメ化した二十二歳の若手イラストレーター。
知らない人と話すこと、自分語り、文字の読み書き、メールが苦手(コミュ障というほどではない)だが
基本的にお人よしであるため、親しい相手との人付き合いは悪くない。
絵師としては、絵を描いていられれば何でもいい。できればそれだけで生きていきたい、というタイプで
結構稼いでいるにもかかわらず金銭欲が薄く、絵を描くこと以外に頓着しないところがある。
偏執しているフェチポイントはおヘソの描写。趣味は資料集めという名の読書や散歩。
ヒロインはJCコスプレイヤー、超美人な同業者、マイペースなラノベ作家、小悪魔なJK、ギャル風味後輩同業者。
サブにあけすけ変態な同業者や超ブラコンな実姉なども。
一番のお気に入りは「ストーカーホイホイ」の異名に悩む美人イラストレーター、佐伯愛澄。
ふわっと広がりつつ巻かれている肩まである明るめの髪の、しっかり化粧をした大人の美人で
映画化作品を手がけたこともある実力派絵師。その美人さは非公認ファンクラブが存在しているほどだが
物腰穏やかで愛想がよく、押しに弱いところが相まってか、ストーカーに好かれやすい。
絵師としては、皆に元気になって欲しい、明日も頑張ろうと思って欲しいと考えながら描くタイプ。
現時点(八巻)においての評価はC。
ライトノベル作家とは一味違う、コメディタッチに描かれたイラストレーターの日常が新鮮で面白い。
登場する主要キャラたちも、おへそフェチな主人公を筆頭に皆個性的かつ曲者揃いで見ていて飽きませんし
彼らが複数集まった時の愉快でテンポの良い掛け合いは愉快極まりなく、サクサク読めます。
しかしこの主人公、気苦労は多くとも私生活はマジで恵まれているというか、幸運過ぎである。
本筋はメインヒロインである乃木乃ノ香と本音を吐露しあって関係修復。再び平穏(?)な日常へ。