恋詠クロニクル 田渕リョウ(一迅社文庫)
片想いを見守る非公認部活「片想い部」に無理矢理入部させられた主人公の学園ハーレムラブコメ。
持ち込まれる、あるいは首を突っ込んで得た問題を解決していくタイプの特殊部活動ものですね。
片想い部は表向きは短歌部であるため短歌が題材に扱われていますが、堅苦しさや小難しさは皆無。
なので肩肘張らずにゆるふわな雰囲気を気楽に楽しめる作風に仕上がっているかと。
ラブコメ面はヒロイン全員の描写や出番がほぼ均等で、扱いにえこひいきがないのがグッド。
後々良質の部活ハーレム環境が形成される予感に、期待が高まります。
主人公は偶然と誤解から片想い部に入部させられてしまった少年。
基本的に人畜無害で裏表のない性格をしており、短歌部に入部するまでは日々をなんとなく過ごしていた。
授業中に寝たり、遅刻未遂常習犯であったりと生活態度はややルーズではあるものの
意外な場面で頼りになるところがあったりと、地味にラブコメ主人公的スペックは高かったりする。
本編開始まで彼女なし、恋もしたことのない人生だったが、女の子に興味がないわけではない。
ヒロインは完璧お嬢様な部長、運動部のスーパールーキー、巨乳ジャージゲーマー、鬼の風紀委員長。
一番のお気に入りは人懐っこいわんこ系後輩少女、三田千紗。
明るくて気持ちのいい子であり、スポーティーでアクティブな印象を見る者に与えるタイプ。
元気娘らしく運動神経抜群で、本人も身体を動かすことが大好き、とボーイッシュな印象が強いが
怖いものが大の苦手だったり、放課後に庭園の花壇の手入れをしていたり
女子力の減少を気にして短歌部に所属したりと、年頃の女の子らしい一面もきちんと持ち合わせている。
欠点はそそっかしいというか、テンパってしまうと、思考が飛んでしまうこと。
現時点(一巻)においての評価はC。
異能やバトルが一切ない、日常系学園ラノベとしては大きな粗のない手堅い仕上がりの作品だと思います。
重いシリアス要素や悪人が存在しないので、全体の雰囲気が爽やかで読み味もスッキリですし。
キャラに関しても、挿絵の効果もあり角のない可愛さという魅力を持つヒロインたちと
目立った活躍や格好良さはないものの、自然に好感を稼ぐ主人公が作品のカラーにマッチしていてグッド。
ただ、肝心の主人公を中心としたラブコメ関係の出足が鈍いのが少々気にかかるところではありますが。
一巻時点で明確にフラグが立っているのは一人だけですし。これは関係進展の描写が丁寧とも言えますが…
まだ伏線も残っていますし、レーベル的に続編が出るか不安ですがどうにか長く続いて欲しいところ。