スクール・オブ・キングダム! 藤谷ある(一迅社文庫)
残念なクラスメイトたちを率いて底辺から成りあがる、痛快RPG学園ファンタジーストーリー。
分類としては学園カーストものになると思われますが、格差の基準が家柄、成績、社交力といった
ありがちなものではなく、ファンタジーRPG風の世界で稼いだ学内通貨の量という点が独特。
バトルのみならず、アイテム採取や売却、拠点改装などの要素も取り入れられているので多様性がありますし
事が国家プロジェクトなだけに、殺伐としたシリアス展開も皆無なため安心して読むことが出来ます。
ラブコメ面は今のところ進展はなく描写も薄め。
主人公は新学期早々、将来国益をもたらす人物を育成するエリート学校帝進学園に急遽転入させられた少年。
なぜか「未来職業判定システム」により、将来の職業が国王(日本なのに)と判定された。
洞察力、分析力、状況適応力に作戦立案能力など知力方面に優れており、頭の回転や話術にも秀でている。
どちらかという落ち着いた性格であり、常に論理的な思考をするタイプだが、色恋に関しては年齢相応。
一定の範囲にある全ての物質情報を獲得することが出来る「王領照臨」というアビリティ持ち。
ヒロインは虚弱な銃剣士、委員長な弓術士、いつも眠そうな工術士、女の子好きな男装錬金術士。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(一巻)においての評価はD。
いかにもなゲーム的な世界観とシステムによるツカミは上々ですし、主人公たちが頭を使い、柔軟な発想で
困難なイベントをこなしていく姿は見ていて中々爽快感があり、ストレスフリーで楽しめます。
その一方でマイナス点として目に付くのが、悪い意味での説明不足と設定の整合性のなさでしょうか。
例えば、ファンタジー世界での生活が優秀な人材の育成とどう結びつくのかサッパリですし
クラス=小国家という解釈はともかく、主人公のポジションは王というよりは軍師なわけで…
謎は後々明かされる、ということを加味しても登場人物たちが疑問に思わないこと自体がおかしいですし。
ギャグ方向に突き抜けた作風ではない以上、せめて必要最低限の説得力は用意して欲しかったですね。
本筋は一巻同様、待遇の向上を目指して学園から出されるイベントをこなしていく形になるのかな?